1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10450342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
斎藤 清機 岡山大学, 工学部, 教授 (60033239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 彰彦 岡山大学, 工学部, 助手 (10263617)
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Keywords | シクロヘキサノンエナミンの芳香族化 / 鎖状エノンの芳香族化 / アニリン誘導体 / 塩化パラジュウム |
Research Abstract |
(1) シクロヘキサノンのピロリジンエナミンのアセトニトリル溶液に塩化バラジュウム(200mol%)とトリエチルアミン(500mol%)を加え室温で2時間反応させると,シクロヘキセン環が芳香族化した生成物が89%の収率で得られた。本反応を様々な置換シクロヘキサノンから誘導したエナミンに適用したところ,その一般性が確認され,様々な芳香族アミンが極めて簡単に,かつ良好な収率で得られた。パラジュウム塩を用いるこのシクロへキサノンエナミンの芳香族化反応は全く新しい反応であり,これまでに知られている手法と相補的に使用することによって芳香族アミン合成の可能性を大きく広げるものと期待される。反応機構は,これまでに知られている2価パラジュウム塩の素反応を用いて合理的に説明される。すなわち,本芳香族化は(a)エナミンのβ-炭素への親電子酌反応によるσ-パラジュウム化合物の生成,(b)パラジュウムのβ-脱離,(c)エナミンの生成,(d)(a),(b)の繰り返し,(e)脱プロトン化による芳香族化,の一連の反応を含む。 (2) 続いて,本反応は,適当な位置に炭素・炭素二重結合を含む鎖状エナミンにも応用可能であることを明らかにした。上記の(a),(b),(c),及び(a)の一連の反応の後,その炭素・炭素二重結合へのσ-パラジュウム化合物の挿入反応によって環が形成され,芳香族化が進行するものであり,全く新規な鎖状エノンの芳香族化反応が確立されたことになる。 (3) 塩化パラジュウムの触媒化が可能になれば極めて有用な反応になるので,現在鋭意検討している。反応後,塩化パラジュウムは0価になっているので,いかにして再酸化行程を効率良く組み込むかが重要である。
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Research Products
(1 results)