1999 Fiscal Year Annual Research Report
ビニルリンカルボアニオンを活用する新規炭素-炭素形成反応の開発と分子設計への応用
Project/Area Number |
10450344
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 享 九州工業大学, 工学部, 教授 (10029134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡内 辰夫 九州工業大学, 工学部, 講師 (60274552)
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Keywords | ビニルアニオン / ビニルホスホナート / ビニルシラン / シリルアレン / 炭素-炭素結合生成 |
Research Abstract |
隣接するヘテロ原子によって安定化されたビニルアニオンは、有機合成化学において重要な反応中間体として広く利用されている。しかしながら、リンによって安定化されたビニルアニオンは、同様にその有用性が期待できるにも関わらず活用例が殆どない。この主な理由としてアニオン重合及びアリルアニオンの生成を抑制することが難しい等の問題点が挙げられる。 そこで我々は、これらの問題点を解決するために、β-シリルビニルホスホナートを合成し、そのビニルアニオンの生成と反応についての検討を行った。 まず始めに、β-シリルビニルホスホナートと種々の塩基との反応について検討を行った結果、LDA又はLTMPと反応させることで、α-リチオ-β-シリルビニルホスホナートが調製できることを見いだした。また、このビニルリチウムとカルボニル化合物を反応させたところ、ホスホノ基及びシリル基を有する種々のアリルアルコールの合成が行えることを見いだした。この様に、予期した通りβ位のシリル基を利用することで、重合を抑制したα-ホスホノビニルアニオンが、炭素-炭素結合形成反応に利用できることを見出した。 また、α-ホスホノビニルアニオンとベンゾフェノンとから合成したアリルアルコールは分子内Wittig-Horner反応により、ケトンやアルデヒド由来の置換基をもつシリルアレンへと誘導ができるため、本ビニルアニオンを利用した反応は合成化学的に非常に有用な手法と成り得る。 一方、アルデヒドから誘導したアリルアルコールからは、同様の反応条件においても、シリルアレンは得られず、ケイ素の転位が進行したアリルシリルエーテルが得られることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Minami,T.: "Synthetic Utilization of α-Phosphonovinyl Anions"Phosphorus,Sulfur and Silicon. 144-146. 689-692 (1999)
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[Publications] Fujiwara,F.: "Vinylic C-F Bond Activation: Generation and Cross-Coupling Reactions of 1-Fluorovinylzirconocene"Tetrahedoron Letters. 40・40. 7261-7265 (1999)
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[Publications] Ichikawa,J.: "A Facile Synthesis of 1-H-2,2-Difluorovinylphosphorus Compounds from 2,2,2-Trifluoromethenesulfonate and Substitutions of Their Vinylic Fluorines"Journal of Fluorine Chemistry. 97. 109-114 (1999)
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[Publications] Okauchi,T.: "Phosphonovinyl Nonaflate: Their Synthesis and Cross-Coupling Reactions"Tetrahedoron Letters. 40・29. 5337-5340 (1999)