1998 Fiscal Year Annual Research Report
モデル櫛型高分子の粘弾性:メタロセン触媒系ポリオレフィンの為の基礎的研究
Project/Area Number |
10450366
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90167164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Keywords | 櫛型高分子 / 粘弾性 / からみ合い |
Research Abstract |
近年、単分散の幹上に同一鎖長の枝が均等なスパンでグラフトされたモデル櫛型高分子の粘弾性に対する研究が望まれている。この高分子は、これまでに使用されてきた1段階カップリング反応では合成できない。本研究では、このモデル櫛型高分子の合成経路を確立し、そのレオロジー的性質の解明を行う。本年度は、この合成経路を見い出し、櫛型高分子の予備的合成と粘弾性測定を行った。その結果を以下にまとめる。 合成:ポリブタジエン(PB)アニオンは、2,6-ビス(クロロメチル)ビリジン(BCMP)の2個のクロロメチル基に対してグラフト型の停止反応を行い、また、ビリジン環のo-位の炭素に対してはニトロアニオン形成を伴うグラフト反応を行う。さらに、ビリジン環のp-位の炭素に対しても、グラフト反応を行うことが出来る。一方、ジフェニルエチレン(DPE)で末端修飾したPB-DPEアニオンは、2個のクロロメチル基とのみ反応する。この反応選択性を利用して、まず、幹プレポリマーとなるDPE-PB-DPEパイアニオン(M=7.5万)をベンゼン中で重合し,所定量のBCMPでカップリングしてプレポリマーのunimer,dimer,trimerを得た。次に、幹となるunimer,dimer-を分別・単離し、枝PBアニオン(M=4.2万)とカップリングした。その粗生成物を分別して、目的とするモデル櫛型高分子を得た。 線形粘弾性:これらの櫛形試料の20wt%n-テトラデカン溶液の線形粘弾性を調べ、幹の運動に対応する終端緩和を見い出した.その緩和時間およびコンブライアンスの検討から、絡み合った枝の運動で誘起されるRouse型の束縛解放機構によって、幹が運動・緩和することが明らかとなった。 次年度計画:以上の知見をもとに、一連のモデル櫛形高分子の合成と粘弾性測定を行い、その緩和機構の詳細を解明する.
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Research Products
(1 results)