1998 Fiscal Year Annual Research Report
未来型メタンハイドレート資源のポテンシャル評価に関する波動工学的研究
Project/Area Number |
10450390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
六川 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50183710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 好宣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40010988)
藤田 和男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40272398)
松島 潤 東京大学, 総合試験所, 助手 (70282499)
加藤 俶史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50010989)
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Keywords | 未来型エネルギー資源 / メタンハイドレート / フリーガス / BSR / 低温物性 / 波動伝播特性 / ポアソン比 / ポテンシャル評価技術 |
Research Abstract |
大変有望夕あると言われている未来型のメタンハイドレート資源についての研究は、現在研究途上の分野であり、今律実際の開発に至るまでには、環境への影響や経済性分析など充分な検討と、多量の基礎的研究データの構築が不可欠である。このハイドレート資源発見の直接の手がかりは、地震探査記録上に現れるBSR(海底疑似反射面)と呼ばれる現象であるが、この種の反射現象のメカニズムについては、まだ充分には解明されておらず、その成因や貯留層構造等についての詳細は不明な点も多い。本研究はこのような観点から、貯留層構造を簡単にモデル化、分類し、ハイドレート層とその貯留システムについて考察を行った。次いで擬似ハイドレート層の室内物理モデル実験を試行し、低温領域での波の伝播における諸現象の観察から、貯留層構造のモデル化とハイドレートBSR現象の成因、ならびに擬似ハイドレートモデル実験及び実験法の妥当性につての評価、検討を行った。 ハイドレート層の簡単なモデル化による分類での考察の結果では、近年調査されたハイドレート資源層(米国フロリダ沖Blake Outer Ridge)は、その調査研究結果との参照から、ハイドレートが孔隙内の地層水中に浮遊している状態の初期貯留層、あるいは更に成長し粒子に付着した段階(中期)の貯留層と推定した。本研究で用いた物理モデルはこれらの状態よりさらに進行、成長し、完成された末期状態に相当する貯留層モデルに相当する。この種のモデルによる研究は、今後発見・調査されるであろう貯留層タイプの各種物性、波動伝播特性等の予測に役立つデータになりうる。擬似試料を用いた波動伝播計測実験からは、BSR下層に相当する常温状態とハイドレート層状態に見立てた、凝固凍結した状態での速度の差は極めて大きく(反射係数換算で0.3程度)、BSR現象の発生メカニズムが検証、確認された。またP波計測に加えS波計測を実施している。その結果、動的ポアソン比が予測可能となり、この種の情報は低温固結状態での地層の硬さや安定性の指標としての情報となり、ハイドレート層の不安定性の予知や、また掘削や生産、開発時における海底地滑り等の災害防止に役立つものと考えられる。
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