2000 Fiscal Year Annual Research Report
コムギと近縁種における低温反応性遺伝子群の単離と構造・機能解析
Project/Area Number |
10460006
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 千春 神戸大学, 農学部, 教授 (10144601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宅見 重雄 神戸大学, 農学部, 助手 (50249166)
森 直樹 神戸大学, 農学部, 助教授 (60230075)
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Keywords | 低温順化 / 凍結耐性 / 低温応答遺伝子 / Cor-Ltr / Lea / Dhn / Rab / 葉緑体 / ミトコンドリア / パンコムギ |
Research Abstract |
1.凍結・低温耐性の冬コムギ品種'Mironovska808(M808)'から以下の6種の低温応答遺伝子を得て、その構造と機能を解析した。1)Wcor14,Wcs19:Cor遺伝子ファミリーに属する遺伝子。Wcor14はオオムギの低温・光応答遺伝子Bcor14に相同。Wcs19はN末コード部分がWcor14と相同で、プロモーターを含むゲノミッククローンを得た。WCOR14とWCS19はともにN末端51残基の葉緑体輸送シグナルを持っていた。2)Wdhn13:dehydrinファミリーに属する遺伝子。3)Wrab17:オオムギのGA_3応答性ES2Aに相同な遺伝子。4)Wrab19:グループ3Leaファミリーに属する遺伝子。5)Wltr10:穀類に特異的なLtrファミリーに属する遺伝子。6)Waox1,Waox2:シアン耐性鎖酸化酵素AOXをコードする遺伝子。 2.各遺伝子についてゲノミックサザン分析でコピー数を推定し、染色体置換系を用いて座乗染色体を特定した。Waox1,Waox2は互いに非同祖な遺伝子であった。 3.M808と春コムギ品種'Chinese Spring'を用いて、凍結耐性(-20℃)を行い、低温順化による凍結耐性の増強と品種間差を明らかにした。 4.各遺伝子の発現をノーザン分析で解析した。Wcor14,Wca19,Wltr10の発現は低温特異的であった。Wrab17,Wrab19は低温とともにABA/GA_3による発現調節を受けた。Waox1,Waox2はともに低温で転写産物量が増加した。Waox2ではKCNによる転写産物量の増加が見られた。各遺伝子の発現レベルと上記2品種の凍結耐性レベルに正の相関が認められた。 5.GFP融合遺伝子の一過性発現を利用して、WCQR14,WCS19が葉緑体に、WAOX1,WAOX2がミトコンドリアに輸送されることを明らかにした。 6.Waox1,Waox2についてPCRによりゲノミッククローンを単離し、エキソン・イントロン構造を明らかにした。
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[Publications] Tsuda,K.: "New members of a cold-responsive group-3 Lea/Rab-related Cor gene family from common wheat (Triticum aestivum L.)."Genes Genetic Systems. 75. 179-188 (2000)
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[Publications] Tsvetanov,S.: "Cold responsive gene/protein families and cold/freezing tolerance in cereals."Biotechnology Biotechnological Equipments. 14. 3-11 (2000)
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[Publications] Tsvetanov,S.: "A cold-responsive wheat (Triticum aestivum L.) gene wcor 14 identified in a winter-hardy cultivar 'Mironovska 808'."Genes Genetic Systems. 75. 49-57 (2000)
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[Publications] Misawa,S.: "Mapping of QTLs for low tenperature response in seedlings of rice (Oryza sativa L.)."Ceseal Research Communications. 28. 33-40 (2000)