1999 Fiscal Year Annual Research Report
クリーニングクロップを利用したアズキ落葉病の生物・生態学的防除
Project/Area Number |
10460018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 喜六 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10002065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋野 聖之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60202537)
近藤 則夫 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00234948)
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Keywords | アズキ落葉病 / クリーニングクロップ / 生物・生態学的防除 / 野性エンバク |
Research Abstract |
アズキ落葉病は、トウモロコシのような根系の分布域の大きな作物を栽培すると、根圏効果により、土壌中の病原菌菌量が低下し、その結果発病が軽減する。しかし、トウモロコシは輪作体系のなかに、組み込むには栽培上多くの問題点があり、実用的ではない。 本研究では、トウモロコシより有効で、且つアズキ栽培体系の中に組み込みやすい作物の探索と、その機構の解明を通して、実用的なアズキ落葉病の生物・生態学的防法を確立することを目的としている。初年度と2年次は、すでに予備実験で有効と判断されている、野生エンバクの他に、数種類の緑肥作物に焦点をあてて、温室と発病圃場(北海道大学圃場と帯広市郊外圃場)で、土壌中の病原菌菌量低下効果と、発病抑制効果ならびに収量調査を行いクリーニングクロップとしての有効性の確認を行った。 1)野生エンバク(ヘイオーツ)は、土壌中の落葉病菌菌量を若干低下させる作用を持つことが推察された。しかし、トウモロコシほどその低下効果は大きくなかった。それにも関わらず、病害抑制効果は大きかった(2年次北大圃場ではとくに差が大きかった)。 2)異なる地域での収量調査(平均褐変節率、着莢率、百粒重)ではヘイオーツ処理により対照区と比較し大きな差が認められ、野性エンバクのクリーニングクロップとしての有効性が圃場レベルでも再実証された。 3)野性エンバクが発病を軽減する機構を解明するために、土壌微生物相を調査した。野性エンバク区土壌からは、アズキ連作区の10倍以上の頻度で、拮抗放線菌が分離され、このほとんどは、耐熱性のBacullus spであった。 4)各区土壌における病原菌分生胞子の発芽を測定した。その結果野性エンバク区の胞子発芽率が相対的に低い値で、エンバク区土壌は他区よりも強い土壌静菌作用が働いていることが判明し、発病軽減効果との関係が示唆された。
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