1998 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物いもち病菌における種特異的寄生性の分子機構解析
Project/Area Number |
10460022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土佐 幸雄 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (20172158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋敷 均 神戸大学, 農学部, 助手 (50252804)
眞山 滋志 神戸大学, 農学部, 教授 (00112251)
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Keywords | いもち病菌 / Magnaporthe grisea / 特異性 |
Research Abstract |
いもち病菌の種特異的寄生性機構を明らかにするため、本年度は次の3点について検討した。 1. アワいもち病菌とコムギいもち病菌のF_1菌系集団における病原性の分離分析 アワいもち病菌とコムギいもち病菌の交雑より得たF_180菌系をコムギ品種農林4号に接種し、分離分析を行った。その結果、完全非病原性菌系:褐変化を誘導する非病原性菌系:病斑数が極めて少ない非病原性菌系:完全病原性菌糸が分離し、その比は1:1:1:1に適合した。このことから、アワ菌とコムギ菌のコムギに対する寄生性の相違は、2つの主働遺伝子に支配されていることが示唆された。これらの遺伝子をPwt1,Pwt2と命名した。 2. RFLP地図の作製と病原性関連遺伝子のマッピング 上記F_1集団を用い、109個のDNAマーカーの分離分析を行い、RFLP地図を作製した。この地図の上にPwt1をマッピングしたところ、本遺伝子は第7染色体上に座乗していることが示唆された。 3. 種特異的寄生性決定因子の探索 コムギ菌の培養菌体ならびに胞子発芽液からコムギの幼根伸張を阻害する物質を単離した。分析の結果、本物質はピリキュロールであることが判明した。ピリキュロールの生産量をイネ菌、アワ菌、コムギ菌、キビ菌、メヒシバ菌等の菌群間で比較したところ、最も多かったのはコムギ菌であった。一方、ピリキュロールの各種植物に対する毒素活性を調べたところ、コムギに対して最も高い活性を示した。以上のことから、ピリキュロールはコムギ菌の病原性に重要な役割を果たしていることが示唆された。今後、ピリキュロール生産量が上記F_1集団において分離を示すか否かを検討する予定である。
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