1998 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体膜タンパク質の増幅に伴う酵母小胞体膜合成制御機構の解明
Project/Area Number |
10460034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30125885)
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Keywords | endoplasmic reticulum / Saccharomyces cerevisiae / Candida maltosa / cytochrome P450Alk / ER proliferation / phospholipid / IRE1 / ER membrane |
Research Abstract |
本研究計画では、申請者らの有する酵母小胞体膜タンパク質チトクロームP450ALKの誘導発現系を利用し,この膜タンパク質の高生産に伴う酵母小胞体膜の増幅過程を生化学的に分析し,またその過程に関わる遺伝子及び遺伝子変異株を単離し,これらを分子遺伝学的・生化学的手法を用いて詳細に検討することにより,小胞体膜の増幅・形成のしくみの解明に至る新たな知見を得る。本年度に計画した実験のうち, (1) 細胞全体のリン脂質合成を、[32P]正リン酸による均一標識により全体の組成の変化を検討し、パルス標識によって各リン脂質の合成速度を検討した。その結果,小胞体増幅条件下でリン酸標識の促進は見られず,かえって低下していることが観察された。長時間の標識では小胞体増幅条件の細胞で対照に比較して2倍に近い標識が見られた。この意外な結果はリン脂質の代謝回転の変化が重要であることを示唆する。 (2) phosphatidylserine,phosphatidylinositol,phosphatidic acid,CDP-diacylglycerol syn-thase,phosphatidylcholineなどの合成に関わる酵素活性をin vitroで検討した。その結果,いずれの酵素活性も増幅細胞抽出液について対照と比較して高い活性を示さず,同程度であった。この結果は(1)の結果と対応するものである。
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[Publications] Yon, J-O, Nakamura, H.et al.: "Incorporation of extracellular phospholipids and their effect on the growth and lipid metabolism of the Saccharomyces cerevisiae cho1/pss mutant." Biochimica Biophysica et Acta. 1394. 23-32 (1998)