1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞のジャスモン酸一次応答性遺伝子の発現誘導に関わる転写制御因子
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10460038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 教授 (80164292)
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Keywords | ジャスモン酸 / オルニチン脱炭酸酵素 / ODC / タバコ培養細胞 / プロモーター / サリチル酸 |
Research Abstract |
ジャスモン酸(JA)は植物の傷害や種々のストレスへの応答反応において、細胞内および細胞間でのシグナル伝達分子として作用するが、JAによる遺伝子発現制御の分子機構はまだ明らかにされていない。本研究は、タンパク質合成阻害下でもJAによって迅速な発現誘導を受ける遺伝子を用いて、その発現誘導の機構を均一な培養細胞系を用いて解析し、誘導に関わる転写制御因子を同定単離しようとするものである。既に、JA一次応答性のオルニチン脱炭酸酵素(ODC)遺伝子を単離してそのプロモーターとGUSレポーターとの融合遺伝子が形質転換タバコ細胞でJAによって誘導されることを確認していた。そこで、種々の長さの段階的欠損を導入したODC遺伝子プロモーター領域とGUSレポーターとの融合遺伝子を作成し、それを導入した形質転換タバコ培養細胞を用いて、JA応答領域の解析を行った。その結果、転写開始点から約1kb上流にJA応答性を顕著に高める領域があることを見出した。この領域は、これまで知られるJA2次応答性遺伝子のプロモーターに見られる応答領域とは位置、構造ともに異なる特徴的なものであり、今後のJA-応答性遺伝子の発現誘導機構の解明に大きく寄与すると考える。また、植物内で互いの合成や作用に拮抗的に働き合うと考えられてきたJAとサリチル酸(SA)が、ODC-1:GUS融合遺伝子の発現においては加算的に作用し、JA応答性がSAによって約二倍に高められることを見出した。
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[Publications] S.Imanishi: "An mRNA of tobacco cell,which is rapidly inducible by methyl jasmonate in the presence of cycloheximide,codes for a putative glycosyltransferase." Plant Cell Physiol.39. 202-211 (1998)
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[Publications] S.Imanishi: "Jasmonate-induced accumulation of nicotine in tobacco cells occurs by non-coordinated induction of expression of genes for omithine decarboxylase and other enzymes." Plant Mol.Biol.38. 1101-1111 (1998)