2000 Fiscal Year Annual Research Report
Ca2+シグナルによる酵母の増殖制御に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
10460044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮川 都吉 広島大学, 工学部, 教授 (10116676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 啓子 広島大学, 工学部, 助教授 (40166012)
平田 大 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (30243603)
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Keywords | カルシニューリンニューリン / MAPキナーゼ / 細胞周期 / カルシウム |
Research Abstract |
我々が以前発見した、Ca^<2+>シグナルによる細胞周期G_2/M期制御機構の詳細を解析した。すでにCa^<2+>シグナルによる細胞周期制御に欠陥のあるscz変異株を多数取得しているが(14の相補グループに分類された)、そのうちの一つscz7変異遺伝子を詳細に解析した。scz7の表現型を相補する遺伝子を取得し解析した結果、scz7変異株はMCK1遺伝子(GSK-3ファミリープロテインキナーゼをコードする)における変異であることが明らかになった。Mck1はCa^<2+>シグナル伝達経路のMpk1 MAPキナーゼカスケードの下流に位置して、Swe1を負に制御するHsl1キナーゼを負に制御していることが明らかになった。高濃度Ca^<2+>を含む培地では、Ca^<2+>シグナル伝達経路が活性化され、bud neckに局在するHsl1を非局在して分解し、この過程にはカルシニューリンとMck1が関わっていた。カルシニューリンは自己リン酸化で活性化したHsl1を脱リン酸化により不活性化することがわかった。E3ユビキチンリガーゼ複合体SCF^<Cdc4>が分解に関わっていることがわかった。Ca^<2+>により活性化される経路は、APC(Anaphase Promoting Complex)活性が弱い細胞周期の時期にHsl1を分解する機構と考えている。GSK-3ファミリープロテインキナーゼは酵母から哺乳動物細胞に至るまで保存されている。高等生物ではGSK-3キナーゼは細胞外からのシグナルを受けて、標的蛋白質の分解を制御しており、細胞分化の運命を決定するキーになるステップで機能している。酵母でも局在化蛋白質Hsl1の非局在化を通して、これを不安定化するということがわかり、種を越えて類似性の高い興味深い機構である。 この成果はEMBO Journalに掲載が認められ、現在印刷中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Shitamukai: "A positive screening for drugs that specifically inhibits the Ca^<2+> signaling acitivity on the basis of the growth promoting effect on a yeast mutant with a peculiar phenotype"Biosci.Biotechnol.Biocehm.. 64. 1942-1946 (2000)
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[Publications] A.Tsuno: "RRS1, a conserved essential gene, encodes a novel regulatory protein required for ribosome biogenesis in Saccharomyces serevisiae"Mol.Cell.Biol.. 20. 2066-2074 (2000)
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[Publications] M.Suda: "Regulation of Wee1 kinase in response to protein synthesis inhibition"FEBS Letters. 486. 305-309 (2000)
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[Publications] M.Mizunuma: "GSK-3 kinase Mck1 and calcineurin coordinately mediate Hsl1 down regulation by Ca^<2+> in budding yeast"EMBO J.. 20(印刷中). (2001)
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[Publications] Zhang,X.: "Crosstalk between transcriptional regulations of multidrug resistance in yeast"J.Biol.Chem.. (印刷中). (2001)
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[Publications] 水沼正樹: "Ca^<2+>シグナルによる細胞周期制御機構"実験医学. 18. 840-845 (2000)
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[Publications] 宮川都吉: "バイオサイエンスとバイオインダストリー"真核微生物の多剤耐性. 17-20 (2000)