1998 Fiscal Year Annual Research Report
感染機作の化学的解析に基づく病態植物診断システムの構築
Project/Area Number |
10460048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 民夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (20026579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 美紀 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70183134)
宮川 恒 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10219735)
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Keywords | エリシター / サツマイモ / ジャガイモ / 宿主特異的毒素 / 二次代謝 |
Research Abstract |
本年度の研究では,弱毒性フザリウムに感染したサツマイモの組織中に特異的に生合成される二次代謝産物の解析に際して,西洋アサガオをモデル植物として導入し,その抽出物の分析を紫外線検出器と高速液体クロマトグラフィーを用いて行った.その結果,変動する成分の定量化ができ,感染に伴う二次代謝産物のプロフィールの変化を追跡することが可能となった.また高速冷却遠心機といくつかのフィルター類を組み合わせることにより,抽出物の前処理操作をより簡便にし,多くの試料を高い再現性で分析することが出来た.一方,ジャガイモ疫病菌の細胞壁成分に類似した構造とエリシター活性を有するラミナリン水溶液を塗布したジャガイモ塊茎組織での変動成分の分析について同様の方法を用いたところ,エリシターによって引き起こされるフェノール性アミド化合物の変動を追跡することが出来た.本方法は他の様々な植物-病原の系でも応用可能であると思われ,病態診断データーベース構築に際して強力なツールとなると期待される. またAlternaria alternataの生産する宿主特異的毒素に関して,その分離と検出法の検討を行った.汚染土壌や植物体内など様々な試料中からの目的成分の分離ではシリカゲルカートリッジによる前処理と高速液体クロマトグラフィーを用いることにより,簡便で迅速な分離を実現した.さらに大気圧イオン化質量分析器もしくは紫外線検出器を併用することによりこの宿主特異的毒素の類縁体を検出することが出来た.しかし検出感度に関しては高い感度が得られなかったため,蛍光検出法を利用するなど改良が必要である.また毒素の存在量と植物の病態の関係に関しては,毒素検出並びに植物代謝変動検出システムの併用による更なる解析が必要であると考えられる.
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