Research Abstract |
歴舟川におけるケショウヤナギなどの先駆性広葉樹,およびハルニレなどの遷移後期種の解析から,各河畔林構成樹種の優占度は,超過洪水確率に対応した地形面区分とよく対応し,CCA解析により各樹種の好む物理環境が明瞭に表現できるようになった。同時に,河畔樹種生活史の各ステージに応じた生息場環境の解析から,水辺林を保全するためには,動的立地環境が保たれ,生息場環境の多様性がセットとして維持されることが重要であることが明らかになった。 ケショウヤナギと同所的に生育しているオオバヤナギ,ドロノキ稚樹の器官量配分と地下部形態について調べた結果,地下部への投資や早期の深度獲得を優先する伸長様式は,3種に共通の形質であり,礫質砂礫堆での定着・成長に有効な地下部形態と考えられた。 ダムが水辺林に与える影響については,流量および流砂量の変化,さらに攪乱頻度と強度の観点から文献レビューを実施した。フィールドでの調査は,札内川と歴舟川で調査を実施し,札内川ダムによる水量調節の影響は,新たな更新立地(裸地)が形成されにくいという点では強く影響していることが明らかになった。さらに,ダムの流量調節による洪水攪乱頻度の減少が,先駆性樹種の更新動態に与える影響をシミュレーションにより予想した結果,札内川では将来的にケショウヤナギの生活史を閉じるために必要な地形面が減少し,ハルニレやヤチダモの遷移後期樹種に占められることが示唆された。 生態学的機能への影響については,水温,リター量,倒流木量,河床間隙微細砂量,付着藻類量,遊泳魚類,底生魚類,攪乱の波及に与える影響を問寒別川,猿払川,幌内川,真駒内川,ユーラップ川,貫別川,オレゴン州Lookout Creekで評価した。
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