2001 Fiscal Year Annual Research Report
河川水系における土砂輸送の不連続性と流域管理の変遷に関する地域比較研究
Project/Area Number |
10460060
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
真板 秀二 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (50015864)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 収 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20178966)
丸谷 知己 信州大学, 農学部, 教授 (40112320)
黒木 幹男 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50002001)
宮崎 敏孝 信州大学, 農学部, 助教授 (50021077)
|
Keywords | 水系 / 土砂輸送 / 不連続性 / 滞留土砂 / 水流次数 / 安定河道 / 流域 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるため、これまでの成果のとりまとめに重点をおいて研究を進めた。共通課題として解析を進めてきた日本各地の対象流域における水系網構成則の比較の結果、(1)対象流域では、分岐比則および面積比則はほぼ成立するが、河道長則および等落差比則は成立するとは言えないこと、(2)分岐比および面積比の具体的な値は地域によって異なり、水系頻度の値にも地域差が明瞭にあらわれること、(3)ある特定の流域についてみると、各次数における河道数と面積を乗じた値が次数によらずほぼ一定であり、その流域の面積をこの値で除した値がその流域が存在する地域によってほぼ一定であること、そしてこの値には明瞭な地域差があること、などが明らかになった。これらは、土砂生産および輸送の場である流域の骨組みにおける規則性の存在と地域ごとの特徴を示しており、流域土砂輸送現象を水流次数を単位として整理することの有効性を示唆している。また、安定河道形状からの偏差によって土砂輸送の特徴を評価するという観点から、安定河道理論に基づいた流砂量縦断分布を各対象河川で検討した結果、安定河道理論を用いることで、比較的簡単に入手可能な資料に基づいて河川を相互に比較することの可能性がこれまでより高まったことが示された。個別課題については、それぞれがとりまとめを行い、2001年8月に東京で開催された第5回地形学会議の「Sensitivity and Recovery of Landscape Following Disturbances to Sediment Delivery」(この科研グループのメンバーが中心になり立ち上げたセッション)で発表した。個別課題は科研報告書(97頁)にとりまとめられたので、その概要を示すためにその目次を示す。なお、本年度は本研究の成果を海外河川と比較することで、国内河川の土砂輸送システムの特性をより明らかにするため、sediment waveの研究で有名な米国西海岸のRedwood Creekを訪れ、現地で米国の研究者達と討議した。これによって、流域土砂輸送現象の本質が土砂の滞留現象にあるという認識をますます強くした。 科研報告書の目次の抜粋(II章 各研究対象地の流域土砂輸送に関する検討) 1.一ツ瀬川上流の岩盤水路に堆積した土砂の流出過程(丸谷・笠井);2.北海道空知川における河床堆積地の変遷動態と土砂移動量の推定(清水);3.天竜川上流域の支川における地形特性ならびに流出土砂量の時系列動態(宮崎);4.大井川上流域の土砂収支とポテンシャル崩壊土砂量(眞板);5.安定河道理論に基づいた流砂量縦断分布の比較(黒木)
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 徳田慎治: "河道網を用いた浮遊砂流出モデルの構築とその適用"土木学会水工学論文集. Vol.45. 793-798 (2001)
-
[Publications] 秋山智弘: "山地渓流河床におけるstep-pool構造の解析"筑波大学農林技術センター演習林報告. 第17号. 53-76 (2001)
-
[Publications] Mikio Kuroki: "Longitudinal Profiles of Stable and Unstable Rivers"Transactions, Japanese Geomorphological Union. Vol.22, No.4. c-135 (2001)
-
[Publications] Hideji Maita: "Analysis of morphologic structure of step-pools in a forested mountain stream,central Japan"Transactions, Japanese Geomorphological Union. Vol.22, No.4. c-144 (2001)
-
[Publications] Tomomi Marutani: "Channel denudation of sediment storage riverbed,the Oyabu Creek"Transactions, Japanese Geomorphological Union. Vol.22, No.4. c-146 (2001)
-
[Publications] Osamu Shimizu: "Sediment budgets to estimate transport rates and residence time of sediment in small mauntain basins"Transactions, Japanese Geomorphological Union. Vol.22, No.4. c-219 (2001)
-
[Publications] Tomomi Marutani: "Source-to-Sink Sediment Cascades in Pacific Rim Geo-Systems"Matsumoto Sabo Work Office, Ministry of land, Infrastructure and Transport, Japan. 183 (2001)