1998 Fiscal Year Annual Research Report
熱・水の再配分からみた樹冠構造タイプの分類に関する研究
Project/Area Number |
10460069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
塚本 良則 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60014924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 英紀 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (60287604)
石垣 逸朗 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (50060075)
橋本 哲 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 講師
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
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Keywords | 熱収支 / 水循環 / 森林 / 樹冠 |
Research Abstract |
研究目的は、樹冠における熱・水の収支と流れの過程を適切に評価する樹冠モデルの構築である。 本年度は、5つのテーマに分割して研究を行った。 1, 樹冠における日射の透過過程における鉛直方向の減衰につき、広葉樹と針葉樹で調べた。散乱光の曇り日の場合は広葉樹針葉樹とも開空度に比例して日射は減衰する。直達光の快晴日では、同じ開空度50%で比較すると針葉樹では50%程度日射が透過し、広葉樹では15%まで低下する。針葉樹は内部まで日射を透過させやすい形態を示すことが定量化された。 2, 落葉に伴う樹冠の変化が林床面の透過日射量分布への影響につき調べた。落葉に伴い着葉期の葉群と落葉期の幹枝における木漏れ日のばらつき度合いを示す変動計数は若干減少し、落葉期の方が比較的均一に日射が透過する。 3, 樹冠は風に対して抵抗として働き、その程度を示す指標である樹冠の祖度長と地面修正量について、人工針葉樹林と高木広葉樹林において調べた。草本等に比べ、森林は祖度長が大きく大気安定度の変動の影響が大きい。 4, 降雨に伴う樹冠の水の再配分に関して、広葉樹と針葉樹につき単木レベルで調べた。林内に集中的に滴下する箇所は双方とも存在し、広葉樹の場合は葉から枝、主幹に流下する途中の枝の変曲点で生じ、針葉樹では枝を伝わるのではなく葉群レベルの葉の集中で生じる。 5, 降雨に伴う樹冠の水の再配分に関して、広葉樹と針葉樹において林分レベルで調べた。林分の降雨再配分の割合は針葉樹林(カラマツ)では林内雨81.2%、樹幹流0.4%、遮断量18.4%となり、広葉樹林(ブナ)では、それぞれ73.2%、13.4%、13.4%となった。針葉樹の樹幹流は極端に少なく、遮断量は針葉樹の方が1.37倍大きく葉の形態による蒸発量の違いが定量化された。
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