1998 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性内湾における二枚貝生産構造解析への安定同位体比研究の展開
Project/Area Number |
10460082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90012012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50270898)
岡本 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20160715)
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Keywords | 浜名湖 / マガキ / 安定同位体比 / 食性 / 懸濁物 / 地理的変化 / 季節的変化 |
Research Abstract |
1. 安定同位体比によるマガキの食性に関する調査 浜名湖内に外界水の影響が強い湖南部に1点、閉鎖性の強い湖北部および技湾に4点の定点を設け、季節的に水中懸濁物およびマガキを採集し、それぞれガス化、精製ののち質量分析計によって安定同位体比δ^<15>N、δ^<13>Cを求めた。マガキについては、軟体動物部の生殖・消化系を含む「生殖・消化部」を摘出して、そのホモジネートを10%トリクロル酢酸によって分離した、グリコーゲン画分(G)とタンパク質画分を試料とした。グリコーゲン含有量はオルシノール硫酸法によって定量した。 南部では北部よりマガキのグリコーゲン含量は低く周年水ガキ状態であったが、流入河川の影響を受ける地点では反対に栄養状態が良く、またδ^<15>N、δ^<13>Cともに懸濁物のそれと良く一致し餌料が懸濁物であることを伺わせた。また同位体比、フエオ化合物、C/N比などの測定結果から、懸濁物は陸起源の有機物と植物性デトライタスが主体であることを示していた。その他の定点での結果を併せて、浜名湖のマガキの食性は地域によって、(1)植物プランクトン、(2)デトライタス、(3)堆積物の巻き上げたもの、(4)それらの混合物に区別することができた。 2. 飼育による食物種毎の軟体部同位体比変化研究(予備的研究) 養殖マガキを同位体比の異なる3種餌料を用いて2水温系で飼育したところ、軟体部部位による変動、代謝による同位体効果が大きく現れ、実験系の改良すべき点が多く示唆された。
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