1999 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドローリックリフトの発生条件の解明と作物生育環境改善への応用
Project/Area Number |
10460115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻谷 哲夫 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00260612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 浩和 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (50303871)
縄田 栄治 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30144348)
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Keywords | ハイドローリックリフト / タマリンド / 蒸散流 / 根 / 高圧フローメーター / 圧力チャンバー / 水分動態 |
Research Abstract |
ハイドローリックリフトの発生条件の解明の基礎として,熱帯果樹のタマリンドとマンゴを用いて水分動態の特性を調べた.タマリンドでは,土壌を急激に乾燥させたときの主幹内の蒸散流量(平成11年度購入データロガーを使用),葉からの蒸散量,気孔開度並びに葉の水ポテンシャルの測定を行った.また,根箱を用いて根の伸長速度を観察した.その結果,タマリンドは,土壌の水ポテンシャルと飽差の変化に敏感に反応する気孔を持つこと,乾燥に遭遇したときに午前の早い段階で樹体の貯留水が利用されること,また小葉の着生角度を調節する調位運動を行うこと,さらに厳しい乾燥に遭遇したときには落葉させて蒸散量を抑制する機能があること,根の伸長速度は1.8cm/dayと比較的大きいこと,が明らかとなった.マンゴを用い,地下部を平成10年度購入の圧力チャンバー内におき,加圧することで物理的に土壌の水ポテンシャルを上昇させた環境で,日中において主幹内の蒸散流量の変化を観察した.その結果,若干のタイムラグののち流量は上昇したものの気孔開度や葉からの蒸散速度には直接の影響は見られなかった.このことは,体内水分が不足すると日中でも樹体内へ水の貯留が行われる場合があること,樹体内の貯留が満たされた後に,根からの水の滲出が生じる可能性を示唆している. 一方,10年度購入の高圧フローメーターで根のコンダクタンスを調べたところ根量が多いほどコンダクタンスが大きい傾向が認められた. 以上の結果から,ハイドローリックリフトは樹体の貯留能力や根量によって影響される可能性があることが示唆された.
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