2000 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドローリックリフトの発生条件の解明と作物生育環境改善への応用
Project/Area Number |
10460115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻谷 哲夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (00260612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 浩和 京都大学, 農学研究科, 助手 (50303871)
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30144348)
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Keywords | ハイドローリックリフト / キマメ / 蒸散流 / 根 / 水分動態 |
Research Abstract |
熱帯乾燥地で間作や混作によく用いられるキマメを供試して、ハイドローリックリフトの機能を評価した。乾季の乾燥地では、土壌の表層にほとんど水分がなくても深層には十分な水分が保たれている場合が多いが、こうした土壌水分環境を人工的に作出するために、直径20cmの筒状の根箱を作成し、そこにキマメを生育させた。根箱には、毛管上昇や浸透がおこらないように加工を施した。こうして用意されたキマメの浅い根系土層30cmを徐々に乾燥させたところ、土壌水分は数日間で容積含水率10%まで急速に低下したが、その後はこのレベル以下に減少しなかった。この間、蒸散速度や気孔開度には影響は見られなかった。深層100cmの土壌水分は25%程度に維持され、キマメは生育に必要な水分を深い層から吸収していたことが示唆された。キマメの根を100cmの深さで切断したところ、浅い土層30cmの土壌水分は2日間で7%まで減少し、気孔は閉鎖し、蒸散はほとんど行われなくなった。表土が乾燥したときにはキマメは深層からの給水でこれを賄っていたことが確認され、同時に深層からの給水によって浅層根圏の土壌水分を一定に維持していたことが示唆された。根が切断された後、表層の土壌水分が急激に減少したことは、植物に利用可能な水分が使い尽くされずにハイドローリックリフトによって保たれていたことを示すものである。キマメは他の作物とともに混植され、乾季に収穫される。こうした植物に以上のようなハイドローリックリフトの機能が認められたことは、浅層根系による養分吸収を補助するだけでなく、近傍に植え付けられた他の作物の生育をも有利にする可能性があることがわかった。今後、混作条件下でこの機能をさらに究明する必要がある。
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Research Products
(1 results)