1998 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性リガンドによる表皮ケラチノサイトの分化制御機構の解明
Project/Area Number |
10460117
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
上原 孝吉 東京農工大学, 農学部, 教授 (10014953)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 助手 (70293016)
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60175940)
松田 浩診 東京農工大学, 農学部, 助教授 (80145820)
|
Keywords | ケラチノイド / デスモゾーム / デスモグレイン / MMP |
Research Abstract |
表皮の主要な構成細胞であるケラチノサイト(表皮角化細胞)は分化(角化)に伴いデモゾームの構成成分であるデスモグレイン(DSG)等の特異的タンパク質を発現し、また、この分化形質発現はin vitroにおいては培地中のカルシウムイオン(Ca2+)によって制御されていることが知られている。今回、ラットDSG-1及び-2の部分分子クローニングを試み、さらにラット・ケラチノサイト培養系を確立し、そのin vitroにおける分化に伴う形質発現の変化を追跡した。ラット新生児皮膚より調製したpoly(A+)RNAを鋳型としたRT-PCR産物からDSG-1及びDSG-2 cDNAをクローニングし、塩基配列を解析した。また、ラット新生児表皮を0.25%トリプシンにて処理した後、Percollによる密度勾配遠心法を行い表皮ケラチノサイトを分離した。得られたケラチノサイトを細胞成長因子及びChelex処理ウシ退治血清含有MCDB153培地を用いて培養し、最終濃度5mMまでのCa2+を添加して分化を誘導した後、抗DSG-1、-2抗体を用いたイムノブロット及び共焦点レーザー顕微鏡観察により分化形質発現を検討した。従来報告されている塩基配列データベースと比較して、ラットDSG-1はヒトDSG-1と75%、ラットDSG-2はマウスDSG-2と96%の相同性が見られた。また、Ca2+添加により分化を誘導したケラチノサイトにおいて、Ca2+依存性にデスモグレインの発現が確認された。現在、このDSG-1、-2のmRNAレベルにおける発現動態についてRNase protection assayにより検討を行っている。また、マトリックス・メタロプロテイネース(MMP)-2、-9の発現をゼラチン・ザイモグラフィーにより検出したところ、分化に伴ってMMP-9の低下が認められてた。 このようなケラチノサイトの培養系を用いた分化誘導機構の検討は、皮膚の代謝・老化メカニズムの解析の一端となると考えている。
|