2000 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性リガンドによる表皮ケラチノサイトの分化制御機構の解明
Project/Area Number |
10460117
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULTURE AND TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
上原 孝吉 東京農工大学, 農学部, 教授 (10014953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 助手 (70293016)
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60175940)
松田 浩珍 東京農工大学, 農学部, 教授 (80145820)
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Keywords | クラチノサイト / 扁平上皮癌 / ケラトヒアリン / 単クローン抗体 / 分化 |
Research Abstract |
イヌ扁平上皮癌・細胞骨格画分を抗原として作成した単クローン抗体中に、表皮ケラトヒアリン顆粒に対し免疫組織化学的に陽性を示す抗体(MAbKH1)を見い出した。この抗体の認識する蛋白質は免疫化学的に脳組織にも証明されたため、ラット新生児脳cDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、約1.7kbpのcDNAクローンが得られた。その全シークエンスについてホモロジーを検索したところ、未知の蛋白質である可能性が考えられたため、ラット・ケラチノサイト初代培養系での発現の検討を行った。ラット新生児より無菌的に採取した皮膚組織から常法に従い、0.25%トリプシン処理によりケラチノサイトを分離し、Chelex処理10%ウシ胎児血清を含むMCDB153培地を用いて、2.5×10^3cells/cm^2になるように播種した。コンフルエントに達した後、血清濃度を2%に下げ、塩化カルシウム(CaCl_2)を最終濃度5mMになるように添加した。一定期間培養後、9.5M尿素を含む電気泳動用緩衝液により細胞層を可溶化し、分析のための試料とした。5mM CaCl_2存在下でケラチノサイト細胞質内に明瞭なケラトヒアリン顆粒が形成され、この顆粒はMAbKH1陽性を示した。イムノブロットの結果、5mM CaCl_2添加により約55kDaの単一バンドが出現したが、対照(0mM CaCl_2)では陽性バンドは認められなかった。また、RT-PCRの結果、予想される300bpのバンドが確認された。培養ケラチノサイトは、培地中のCa^<2+>濃度の上昇により、表皮角化過程の一部を再現すると報告されている。今回の結果より、単クローン抗体MAbKH1の認識する55kDa蛋白質はin vitroにおいてCa^<2+>依存性の発現動態を示し、また、in vivoにおける表皮細胞の新たな分化マーカーとなり得ると考えられた。
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Research Products
(1 results)