1998 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチン(PRL)受容体非結合性胎盤性PRL分子の標的細胞の探索
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10460121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 敦郎 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究員
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Keywords | 胎盤 / 妊娠 / PRL / PLP-H / PL-Im / バキュロウイルス |
Research Abstract |
胎盤は妊娠時の体内環境の調節や胎仔の発生・成長を支えるため、内分泌系、中枢神経系、代謝系および免疫系など多岐にわたってその機能を果たしている。胎盤特異分子ファミリーである胎盤性プロラクチン(PRL)ファミリーPRLや成長ホルモン(GH)と類似の構造を持つ二群の妊娠特異分子で、ラットでは10挿類のメンバーのcDNAがクローニングされている。本研究計画は、それらのうちでPRL受容体には結合しない分子の標的細胞(組織)を同定し、妊娠維持におけるそれらの機能を明らかにすることを目的としている。本年度はまず、PRLファミリー分子と受容体の相互作用およびPRLファミリー分子の機能発現における糖鎖修飾の重要性を知る目的で特にPL-Imの糖鎖付加部位に着目した解析を行い、PL-Imタンパク上の糖鎖修飾は、十分な生理活性を発現するためには必要であるにも関わらずPRL受容体との結合およびPRL受容体を介した細胞内情報伝達には必ずしも必要でないことを明らかにし報告した。この結果は、PRL受容体以外にもPRLファミリー分子と相互作用する未知の受容体様分子が存在することを新たに示した。また、バキュロウィルスベクターと昆虫細胞を用いた系により調製した組換えPL-Imタンパクが生理活性を保持していることを示し、この系によるPRLファミリータンパクの大量調製が有効であることを報告した。さらに、PRL受容体非結合性の分子であるPLP-DおよびPLP-Eに対する抗体を作製するために、これらとGSTとの融合タンパクを発現するベクターを作出し、融合タンパクを精製した。以上に加え、ラットPRLファミリーに属する新規のタンパクをコードするcDNAの単離にも成功し、この分子がPLP-D同様、PRL受容体非結合性の分子であることを示し、PLP-Hと命名した。
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[Publications] K.Iwatsuki et al.: "Molecular cloning and characterization of a new member of the rat placental prolactin(PRL)family, PRL-like protein H." Endocrinology. 139(12). 4976-4983 (1998)
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[Publications] N.Hattori et al.: "Evaluation of the role of N-linked oligosaccharides in rat placental lactogen action by site-directed mutagenesis." Endocrine Journal. 45(5). 659-674 (1998)
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[Publications] M.Hirosawa-Takamori et al.: "Characterization of rat mid-pregnancy-specific placental lactogen produced by baculovirus/insect cell expression system." Journal of Reproduction and Development. 45. 43-50 (1999)