1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子レベルにおける乳腺発達と泌乳能力の調節機構の解明
Project/Area Number |
10460122
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 不学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20175160)
今川 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00291956)
|
Keywords | マウス乳腺 / メッセンジャーRNA / 離乳再哺乳 / ポリ(A)テール / RNA半減期 / カゼイン |
Research Abstract |
泌乳中の乳腺が合成するミルクたんぱく質は驚くほど多い。このため、泌乳の急速な停止や再開は、遺伝子発現の停止と再発現を要する。しかし、今まで存在していたメッセンジャーRNAが残るため乳腺から除く必要があるが、その機構は知られていない。本研究は、泌乳中のマウスを用い、離乳による泌乳の停止、再哺乳による泌乳の再開をモデルとして、カゼインメッセンジャーRNAの動態を分析した。離乳後、カゼインメッセンジャーRNAは離乳時間とともに消失し、その長さは短くなった。離乳24時間後に再哺乳を行うとカゼインメッセンジャーRNAは再び急速に増加し、その長さも長くなった。カゼインメッセンジャーRNAのコードおよび非コード須域の長さは変わらなかった。しかし、ポリ(A)テールの長さを比較したところ、長さに違いが見られた。カゼインメッセンジャーRNAの長さの違いは、ポリ(A)テールの長さの違いによることが判明した。このことから泌乳量とポリ(A)テールの長さが関係した。このカゼインメッセンジャーRNAの半減時間を調べた、ポリ(A)テールの長いカゼインメッセンジャーRNAの半減時間は約2時間であったが、それが短いカゼインメッセンジャーRNAの半減時間は約1時間であった。ポリ(A)テールの長短とカゼインメッセンジャーRNAの分解の受けやすさと関連することが判明した。本研究から、乳腺内にミルクが蓄積し、蓄積の限度を超えるとカゼイン遺伝子の発現が低下することに加え、分解を受けやすいカゼインメッセンジャーRNAに変化させる、新しい乳腺機能の存在を明らかにした。
|
-
[Publications] Kim JY, Mizoguchi Y, Kuraishi T, et al.: "Effects of weaning and suckling on γ-casein and prolactin receptor mRNA levels in the mouse mammary gland during lactation" Animal Science and Technology. 69(8). 728-733 (1998)
-
[Publications] Mori M, Sakai S: "Regional difference of 11β-hydroxysteroid dehydrogenase activity in Quail oviduct" Animal Science and Technology. 69(10). 916-922 (1998)
-
[Publications] Imakawa K, Ji Y, Yamaguchi H, et al.: "Co-expression of transforming growth factor β and interferon τ during peri-implantation period in the ewe" Endocrine Journal. 45(4). 441-450 (1998)
-
[Publications] Aoki F, Sakai S, Kohmoto K: "Hyperactivated motility is induced by reagents depressing the function of calcilum in mouse sperm" Animal Science Journal. 70(3) (in press).
-
[Publications] 酒井仙吉: "プロラクチンと乳腺" Hormone frontier in gynecology. 5(4). 373-378 (1998)