1999 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物の光受容細胞、生体時計局在細胞による時計機構と同調機構の解析
Project/Area Number |
10460132
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80150192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
那須 哲夫 宮崎大学, 農学部, 助教授 (40108725)
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Keywords | 生体時計 / 松果体 / メラトニン / PACAP / サーカディアンリズム / 体温 |
Research Abstract |
1)時計周期に対する修飾因子の解析:鳥類におけるメラトニンの作用をモデルにして スズメ(松果体が生体時計である)、うずら(目に時計がある)、フクロウ(松果体が退化している)の3群を用いてメラトニンの同調機構の有無や体温への影響などを検討した。恒常薄明下で自由継続リズムを示した状態でメラトニンを毎日定刻投与しても、ラットと異なり、メラトニン投与時刻に時計は同調しなかった。しかし、投与後に明白な行動の中止が出現した。体温を測定した結果、この静止状態の間、急速な下降が認められた。この体温下降は活動期の方が休息期に比較して顕著に現れた。以上の結果、鳥類においては、メラトニンの毎日の定刻投与では時計を同調できないことが判明した。スズメやうずらにおける体温低下は活動期においてより顕著なものであり、その間、これらの鳥は全く静止状態に陥った。このことは、メラトニンが夜間に旺盛に分泌されることが昼行性鳥類にとって理にかなった機構と言える。 2)光による時計の同調機構の解析:特にPACAPの関与の有無 近年、PACAPがリズム機構、特に光同調機構に関係することが示唆され始めた。このPACAPが果たして、ヒヨコ松果体のメラトニン合成系、あるいは光の同調機構などに関与しているか否かを検討した。まずPACAPのCT12時での6時間単独投与はメラトニンの上昇速度を速め、ピークが前進した。しかし、その後の第2、第3のピークには影響しなかった。CT9時でのPACAP単独投与では投与時に濃度依存的にメラトニンの上昇が認められた。このピークは対照群のピークよりも前に出現したが、その後の推移は対照群と差はなかった。次に光パルスによる時計リズムを変位させた時にPACAPを同時投与すると光による時計の変位が影響されるか否かを検討した結果、光による時計の位相変位は阻止されなかった。しかし、投与期間にはメラトニンの顕著な増加を示すことを明らかにした。このことは、PACAPが光に対する時計の作用には全く関与していないこと、さらに、時計自身によるメラトニン合成とは全く独自にメラトニン合成系に作用しうることを示唆している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.K.Ashraf: "Effect of natal dispersal on the reproductive strategies of the young Misaki feral stalions"Applied Animal Behaviour Science. 62. 281-291 (1999)
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[Publications] K.Uchida.: "Non-purulent mening oencephalomyelitis of a pacific striped dolphin.The first evidence of dolphin molbillivirus in fection in the pacific ocean around Japan."J.Vet.Med.Sci.. 61(2). 159-162 (1999)
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[Publications] T.Ida.: "Effect of lateral cerebroventricular injection of appetite stimulating neuropeptide,orexin and Neuropeptide Y,on the various behavioral patternsinrats."Brain Research.. 821. 667-671 (1999)
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[Publications] M.S.Mondal: "Widespled distribution of orexin in rat brain and its regulation upon fasting."Biochemical and Biophysical Research Communication. 256(3). 495-499 (1999)
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[Publications] M.K.Ashraf: "Factors affecting the haremformation process by yound Misaki feral starions."J.Vet.Med.Sci.. 61(6). 667-671 (1999)
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[Publications] M.S.Modal: "Characterization of orexin-A and orexin-B in the microdissective rat brain nuclei and their contents in two obese rat models"Neuroscience Letters. 270. 1-4 (1999)
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[Publications] 村上 昇: "生物時計の分子生物学"springer Verlag Tokyo,海老原史樹文・深田吉孝編集. 197 (1999)