1999 Fiscal Year Annual Research Report
家畜及びヒトの腸管出血性大腸菌感染症に関する血清疫学的研究
Project/Area Number |
10460137
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部・獣医学科, 教授 (60133906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 喜久治 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50100045)
中根 明夫 弘前大学, 医学部, 教授 (30164239)
佐藤 成大 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20112592)
中澤 宗生 家畜衛生試験場, 室長
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 牛初乳 / O抗体価 / サイトカイン / 志賀毒素(STx) / マウス致死 |
Research Abstract |
子牛への感染状況を把握するため、母牛、初乳および授乳子牛について、腸管出血性大腸菌(STEC)O157、O26およびO111抗体価をELISA法により調査した。さらに、志賀毒素(STx)産生菌の保菌状況について検査した。初乳中の抗体価は、いずれのSTEC型も分娩直後でもっとも高く、その後2〜3日で急速に低下した。出産子牛(5頭)の抗体価は、出産後の初乳投与前では抗体陰性であったが、投与後数時間で上昇し、1日後には最高値を示した。抗体価が高い初乳を摂取した子牛ほど、その抗体価は高い傾向を示した。子牛の経時的な抗体価は、7〜10日では陽性を示すもの顔奥、その後30〜40日目であまり変わらなかった。他方、STx遺伝子の保有については、母牛では分娩前、後とも約20%で差はみられなかったが、子牛では分娩直後3.9%、7〜10日後10.7%、30〜40日後33.3%と明らかに増加する傾向を示した。しかし、これらのSTx陽性を示した牛からはSTEC O157、O26およびO111は検出されなかった。以上のことから、分娩後の初乳STEC O157、O26およびO111抗体価は高く、子牛への投与は抗体移行に重要であることが明らかになった。 さらに、志賀毒素(STx1,2)投与のサイトカイン動態とマウス生存率に対する影響を検討した。ddYマウスにSTx1あるいはSTx2を腹腔内投与することにより、濃度依存的に致死率が上昇した。STx1投与1時間後に、低値のIFN-γ及びTNF-α産生がみられ、IFN-gKOマウスあるいはTNF-αKOマウスは対照群と比較すると生存率が上昇した。STx2投与においては投与1時間後に低値のIFN-γ産生がみられたものの、TNF-α産生は検出されなかった。しかしながらIFN-γKOマウスあるいはTNF-αKOマウスにおいて、STx2投与後の生存率は対照群と比較すると上昇した。本結果からSTx投与により誘導されるIFN-γあるいはTNF-αが、STxに引き起こされる致死に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)