2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10460145
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂井 克己 九州大学, 農学研究院, 教授 (30015656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 弘毅 九州大学, 農学研究院, 助手 (90264100)
近藤 隆一郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (80091370)
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Keywords | タンニン / 水酸基価 / スギ樹皮成分 / カテコール / ウレタン化反応 / アミン触媒 / ジブチル錫触媒 / フロログルシノール |
Research Abstract |
1)スギ樹皮タンニンの効率的な液化法の開発 ポリエチレングリコール400中で亜硫酸水素ナトリウム水溶液によるスギ樹皮の液化(PEG・バイサルファイト処理)を行い、可及的高い液化率を達成するための条件の最適化を試み、以下の結果を得た。 A.亜硫酸水素ナトリウム水溶液の濃度を4%、液化処理時間を30分に設定し、反応温度を変えてPEG・バイサルファイト処理を行った際には、250Cにおいて、内・外樹皮ともにある程度高い可溶化率を得ることができ、リグニンやタンニンの再縮合も著しくないことが示唆された。内樹皮では反応時間が長いほどよく可溶化されたが、外樹皮は長時間の処理でリグニン・タンニンの再縮合が生じることが示唆された。リグニン含量の多い外樹皮では亜硫酸水素ナトリウムが高濃度であるほど可溶化率が向上し、残渣のKlasonリグニン量も減少した。 B.スギ外樹皮のグリコール・バイサルファイト処理生成物の酢酸エチル可溶部のGC-MS分析では、カテコールの生成が確認され、quebracho tanninの場合にもカテコールとフロログルシノールの生成が確認され、樹皮中の縮合型タンニンの少なくとも一部は芳香核単位まで分解することが示された。 2)タンニンウレタンの調製と物性解析 PEG・バイサルファイト処理条件の最適化により得られたスギ樹皮の液化物の水酸基価測定法について検討した。その結果、既知の無水フタル酸又は無水酢酸によるエステル化に基づく方法は液化物の水酸基価を正しく表さないことが判明し、錫化合物とアミンの混合触媒を用いるイソシアナート法を開発した。かくして得られる水酸基価に基づいて樹皮液化混合物から比較的低密度のウレタンフォームが調整可能であることが示された
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 芦谷竜矢,上野智子,坂井克己: "樹皮のグリコール-バイサルファイト法による液化反応の解析"第45回リグニン討論会講演集. 173-174 (2000)
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[Publications] 上野智子,耿興蓮,芦谷竜矢,親泊政二三,坂井克己: "スギ樹皮のポリエチレングリコール・バイサルファイト法による液化"第45回リグニン討論会講演集. 127-130 (2000)
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[Publications] JJ Ge,W Zhong,ZR Guo,WJ Li,K Sakai: "Biodegradable Polyurethane Materials from Bark and Starch.I.Highly Resilient Foams"J Appl Polym Sci. 77. 2575-2580 (2000)
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[Publications] 坂井克己: "樹皮タンニンからの生分解性高分子素材の調製"木材工業. 54(6). 256-260 (1999)
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[Publications] K.Sakai: "Wood and Cellulosic Chemistry (Chemistry of Barkの章p243-273分担執筆)"Marcel Dekker. 914 (2001)