1998 Fiscal Year Annual Research Report
活動クロスブリッジが心筋トロポニンのCa親和性を調節している分子構造
Project/Area Number |
10470010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 紀男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30301534)
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Keywords | 心筋 / トロポニン / Ca_<2+> / 筋長 / クロスブリッジ / Ca親和性 |
Research Abstract |
心筋の収縮が筋長に依存して変化するメカニズムを、(1)生筋、および(2)スキンド標本について調べた。生筋の実験はフェレットの右室乳頭筋の表層細胞内に発光蛋白エクオリンを注入して、Ca信号と張力を同時に測定した。筋を伸張すると張力は増大し、その時間経過は延長した。この時、Ca信号(Catransient,CaT)の下降相の減衰時間は短縮した。これは、伸張により、Caイオンに対するトロポニンの親和性が増大したためと考えられている。横軸に発生張力を縦軸にCaTの減衰時間をとって両者の関係を調べると、CaTの減衰時間は発生張力に高い依存性を示すことがわかった。このCaTの減衰時間の張力依存性は、筋小胞体のCa取り込みによっても見かけ上影響されることが、甲状腺機能亢進動物の心筋を用いることによりわかった。甲状腺機能亢進動物心筋の筋小胞体Ca取り込み速度は速いので、発生張力に依存して変化するCaTの減衰時間の変化が大きく現れないことがわかった。(2)スキンド標本は、ラットの細い右室肉中をトリトン処理して作成した。筋節長はレーザーの回折格子から測定した。スキンド標本も筋節長を1、9μmから2.3μmに伸張するとpCa一張力関係が左方に移動してCa感受性が増加した。スキンド標本にプロテインキナーゼAの触媒部位を作用させて燐酸化すると、筋長に依存したCa感受性変化が減弱した。この結果は、トロポニンIが筋長に依存した張力変化に関係していることを強く示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kurihara,S: "Effects of acidosis on Ca_<2+> sensitivity of contractile elements in intact ferret papillary muscles." American Journal of Physiology. 274. H145-H154 (1998)
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[Publications] Kurihara,S: "Dynamic relations among length, tension,and intracellular Ca_<2+> in activated ferret papillary muscles." American journal of physiology. 275. H1957-H1962 (1998)
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[Publications] 栗原 敏: "細胞内Ca_<2+>濃度変化による心筋の収縮制御とPDE阻害薬の作用機序" Lisa. 5. 54-64 (1998)
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[Publications] 栗原 敏: "糖尿病ラット心室筋の短縮とCa_<2+>transients" 心筋の構造と代謝. 20. 165-169 (1998)
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[Publications] Kurihara,S: "Modulation of the Ca_<2+> transient decay by tension and Ca_<2+>removal in hyperthyroid myocardium." American Journal of Physiology. 276. 289-299 (1999)
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[Publications] 栗原 敏: "細胞実験法-2" 永野 允・今井昭一編, 573 (1998)