1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10470012
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岡田 泰伸 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10025661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
挾間 章博 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60218394)
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Keywords | パネト細胞 / サイクリックAMP / CFTR / Cl分泌 |
Research Abstract |
感染防御に関与するパネト細胞は小腸腺部の奥深く少数存在するために生理学研究の対象とされず、他の腺部上皮細胞と同様にCFTRによるサイクリックAMP(cAMP)依存性Cl^-分泌を行うかなど不明の点が多いままである。そこで本研究では「パネト細胞はCFTR Cl^-チャネルによってCl^-分泌を行うか?」、という積年の疑問に初めて答えると共に、世界に先駆けて「パネト細胞における単一細胞レベルにおける生理学的研究」に端緒をきることが本研究の目的である。具体的には、このCl^-チャネルの電気生理学的性質の詳細を解析し、これまで明かになっているCFTR Cl^-チャネルの性質との異同を明らかにすることを主たる研究内容とする。またこの後に、単一パネト細胞のmRNAをパッチ電極に回収して逆転写一遺伝子増幅(RT-PCR)を行うという単一細胞RT-PCR法(パッチRT-PCR法)を適用する。これによってパネト細胞におけるCFTR遺伝子の発現を確認することも行う。 本年度はパネト細胞のcAMP依存性Cl^-チャネル電流の記録・解析を行った。まず、モルモット及びラット小腸から私達が開発した機械的振動法によって、腺部上皮を絨毛部上皮から分けてまるごと単離した。この中に、ニュートラルレッドによる細胞内顆粒の生体染色法によって生きたままパネト細胞を同定し、パッチクランプ全細胞記録法を適用した。実験後、更に抗ライソザイム抗体を用いた免疫染色法によってパネト細胞であることを確認した。全細胞パッチクランプ下にcAMP刺激カクテル(db-cAMP+forskolin+IBMX)を投与して細胞内cAMP濃度を増加させ、これによって活性化されるCl^-電流を記録することができた。このCl^-電流が小腸腺部の他の上皮細胞で知られているCFTR Cl^-チャネルの電流と性質が同じであるかどうかを、次の6つのタライテリアによって判定した。:i)H89などのcAMP依存性蛋白キナーゼ阻害剤による抑制、ii)直線的「電流-電圧特性」、iii)時間非依存性活性化キナティクス、iv)Br^->Cl^->I^-というアイゼンマンIII型のアニオン選択性順序、v)グリベンクラミド感受性、vi)DIDS非感受性。その結果、これらすべてがCFTR型であることが判明した。しかし、グリベンクラミドはCFTRより高濃度必要であるなど、若干のちがいも確認された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tsumura,Hazama & Okada: "Activation of cAMP-dependent Cl^- currents in guinea-pig Paneth cells without relevant evidence for CFTR expression." Journal of Physiology. 512・3. 765-777 (1998)
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[Publications] Zhou,Hazama & Okada: "Tyrosine kinase-independent extracellular action of genistein on the CFTR Cl^- channel in guinea pig ventricular myocytes and CFTR-transfected mouse fibroblasts." Japanese Journal of Physiology. 48・5. 389-396 (1998)
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[Publications] 岡田泰伸: "Clチャネルと細胞容積調節および細胞死" Mebio. 15・6. 61-68 (1998)
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[Publications] 挾間章博: "CFTR蛋白の多機能性と嚢胞性線維症" Mebio. 15・6. 69-76 (1998)
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[Publications] 森島 繁・岡田泰伸: "イオンチャネルの構造と機能" Mebio. 15・6. 12-24 (1998)
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[Publications] 岡田泰伸・小島 至: "チャネルとトランスポータの構造と疾患" Molecular Medicine. 35. 4-17 (1998)
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[Publications] Y.Okada: "Cell Volume Regulation:The Molecular Mechanism and Volume Sensing Machinery" Elsevier, 1-214 (1998)