1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスにおける中枢性カルシウム代謝調節機構の役割
Project/Area Number |
10470017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
粟生 修司 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40150908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武 幸子 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80253425)
高木 厚司 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30243934)
堀 哲郎 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00022814)
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Keywords | 視床下部外側野 / 回避学習 / 空間学習 / カルシウム代謝 / 低カルシウム血症 / コレシストキニン / オレキシン / OLETFラット |
Research Abstract |
これまでの研究で視床下部外側野(LHA)および腹内側核に胃迷走神経を介するカルシウム低下機構が存在することを明らかにしている。またこれらの調節機構およびそのストレス応答の少なくとも一部に性差が認められる。この視床下部カルシウム代謝調節機構の生理学的意義を明らかにするため、学習記憶などの高次機能との関連を調べた。また性分化とカルシウム代謝調節機構および学習記憶機構との関係も検討した。 1)細胞レベルにおける学習記憶過程で、細胞内へのカルシウムの流入が引き金になることが知られている。本研究で、ネコLHA電気刺激が瞬目反射の古典的条件付けを著明に促進することを見い出した。LHA電気刺激が血漿カルシウムレベルを低下させることをすでに見い出しているので、細胞外から細胞内へのカルシウムの移行をLHA電気刺激が促進している可能性があり、検討する必要がある。 2)LHAニューロンの一部はオレキシンを産生している。オレキシンを側脳室に投与すると受動的回避学習を促進し、空間学習を抑制した。海馬スライス標本における長期増強も抑制した。また、一般活動性や探索行動を促進する作用も示した。 3)低カルシウム血症誘発因子であるコレシストキニン(CCK)は情動や学習機能にも影響を及ぼす。CCKA受容体欠損ラッットであるOLETFラットの学習機能を調べると、空間学習障害と受動的回避学習の促進が認められた。 4)ストレスやウレタンによる低カルシウム血症は雌ラットでより強く発現する。LHAはカルシウム代謝だけでなくカリウム代謝も調節しており、さらに雌ラットは雄に比べ血漿カリウム濃度が低いことを見い出した。外来性環境化学因子のトリブチルスズを胎生期から慢性に投与すると、一般活動性や探索行動の性差が消失し、血漿カリウム濃度の性差が減弱あるいは消失した。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] Woody CD: "Identification of defferently timed motor components of conditioned blink responses."Brain Research. 836. 79-89 (1999)
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[Publications] 粟生修司: "摂食行動の基礎"心身医学. 39. 99-109 (1999)
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[Publications] 粟生修司: "食欲の生理・生化学"からだの科学. 207. 28-34 (1999)
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[Publications] 李学良: "OLETFラットの学習障害と[Ala]16-aFGF(1-29)による改善"OLETFラット研究会記録集. 最終巻. 101-104 (1999)
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[Publications] Li,A-J: "Protective effect of acidic fibroblast growth factor against ischemia-induced learning an memory deficits in two tasks in gerbils."Physiol.&Behav.. 66(4). 577-583 (1999)
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[Publications] Hosoi,M: "Prostaglandin E2 has antinociceptive effect through EP1 receptor in the ventrome* hypothalamus in rats."Pain. 82. 221-227 (1999)
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[Publications] Kamikawa,H: "Hyperalgesic response to noxious stimulation in genetically polydipsic mice."Brain Res.. 846. 171-176 (1999)
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[Publications] 堀 哲郎: "神経・内分泌・免疫連関"アレルギー・免疫. 6. 52-61 (1999)
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[Publications] 堀 哲郎: "情動と免疫"Clinical Neuroscience. 48(7). 772-775 (1999)
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[Publications] Hori,T.: "Evidence for th einvolvement of AV3V in the circulating IL-β-to-brain communication."Journal of Thermal Biology. 25. 29-33 (2000)
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[Publications] Hori,T.: "Hypothalamic mechanisms of pain modulatory actions of cytokines and prostaglandin E2."Ann. N. Y. Acad. Sci.. (印刷中). (2000)
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[Publications] 粟生修司: "心理学辞典"有斐閣. 290 (1999)
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[Publications] 粟生修司: "心身医学用語辞典"医学書院. 1086 (1999)
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[Publications] Aou,S.: "Thermotherapy :Principle and Practice--Application and neoplasia, Inflammation, and Pain."Springer-Verlag(印刷中). (2000)
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[Publications] Takaki,A: "Control Mechanisms of Stress and Emotion: Neuroendocrine-Based Studies"Elsevier Science B.V(印刷中). (1999)