1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウト株の樹立を機に,平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼの細胞内機能を探る
Project/Area Number |
10470022
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小浜 一弘 群馬大学, 医学部, 教授 (30101116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 彰男 群馬大学, 医学部, 助手
石川 良樹 群馬大学, 医学部, 助手 (20212863)
岡垣 壮 群馬大学, 医学部, 講師 (80185412)
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Keywords | ミオシン軽鎖キナーゼ / ミオシン / アクチン / 平滑筋 / リン酸化 / 遊走能 |
Research Abstract |
平滑筋は通常は収縮型細胞で構成されるが、血管病変では増殖型が現れる。アクトミオシン系は前者では収縮を起こすが、後者では細胞質分裂・遊走能を担っている。このアクトミオシン系に対し、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)は重要な制御蛋白質と考えられている。しかし、この考えはin vitroでのもので、in vivoでは問題が多い。 私どもは、血管平滑筋由来のSM3株を母体とし、MLCK遺伝子発現を阻止した株(SM3・MLCK^-)の樹立にどこよりも先に成功した。これを機に、本研究ではMLCKに関連し、in vivoで以下の点に於て解析する。i)SM3・MLCK^-とそのコントロールの比較により、MLCK遺伝子発現の阻止によりどの様な変化が起こるか?検討を加える。ii)MLCKのアクチン結合部の導入による機能回復はどの項目か? レスキュー実験により検討を加える。iii)MLCKのキナーゼ部位とミオシン結合部位をそれぞれ導入し、回復する機能はあるか?検討をする。iv)MLCK遺伝子発現阻止(ノックアウト)を、今度は、増殖を伴う血管病変モデル動物で試みる。 本年度には以下のような成果が得られた。 i)アクトミオシン系細胞骨格の形態変化:MLCKをノックアウトしてSM3・MLCK^-株とコントロール株をカバーグラス上に培養し、トリトンX100を含むフォルムアルデヒドで固定した。細い線維はローダミンでラベルされたファロイジン(市販)を用いアクチン染色で、太い線維は平滑筋ミオシン重鎖抗体(現有)によるミオシン染色で検出する。検出には現有の蛍光顕微鏡を用いた。さらにPDGF(血小板由来成長因子)でChemotaxisを引起した条件(下記参照)でも同様の検討を行った。ii)収縮能の検討:SM3・MLCK^-とコントロール株をシリコン膜でコートした培養皿(市販)で増殖させる。PGF2α又はアンギオテンシンIIを与え、これら細胞のfree shortningをMurrayらの方法で位相差顕微鏡(現有)にて調べる。同時にミオシン軽鎖がリン酸化はどうなっているか?佐々木らの方法で調べた所、リン酸化は進行するもののノックアウト株では収縮が阻害されていた。iii)遊走能の検討:PDGFに対するChemotaxisとして検出する。Poreサイズ8μmのメンブランフィルターを装置したボイデン・チャンバーを用い、下室に加えたPDGFに向かって上室より移行した細胞数を数えた所、ノックアウト株では遊走能が低下していた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ishikawa,R.: "Regulation of actin binding and actin bundling activities of fascin by caldesmon coupled with tropomyosin" J.Biol.Chem.273. 26991-26997 (1998)
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[Publications] Lin,Y.: "N-terminal myosin binding fragment of talin" Biochem.Biophys.Res.Commun.249. 656-659 (1998)
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[Publications] Fujita,K: "Myosin light chain kinase from skeletal muscle regulates an ATP-dependent interaction between actin and myosin by binding to actin" Molec.Cell.Biochem.190. 85-90 (1998)
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[Publications] Okagaki,T.: "Inhibition of the ATP-dependent interaction of actin and myosin by the catalytic domain of the myosin light chain kinase of smooth muscle" J.Biochem.125. 619-626 (1999)
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[Publications] Maruta,H.& Kohama,K.: "G Protein,Cytoskeleton,and Cancer" R.G.Landes Company, 377 (1998)
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[Publications] Kohama,K.& Sasaki,Y.: "Molecular mechanisms of smooth muscle contraction" R.A.Landes Company, 161 (1999)