1998 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンリン酸化反応によるPKCファミリーの活性化とその生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
10470031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 和成 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (00280925)
小西 博昭 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (40252811)
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Keywords | PKC / ジアシルグリセロール / 蛋白質リン酸化酵素 / チロシンリン酸化 / 酸化ストレス / 変異体 / GFP融合蛋白質 / 細胞膜移行 |
Research Abstract |
PKCは細胞膜イノシトールリン脂質の加水分解により生成されるジアシルグリセロールをセカンドメッセンジャーとして活性化されるセリン/トレオニン蛋白質リン酸化酵素であり、10種類の分子種が同定されている。PKC分子種のうちδ分子種は細胞増殖因子刺激によってチロシンリン酸化を受けることが報告されており、一方、私どもは酸化ストレスによって全てのPKC分子種がチロシンリン酸化を受けることを明らかにしている。本研究ではPKCのチロシンリン酸化反応による活性化とその意義を明らかにすることを目的として検討を行った。まず、PKCδ分子種のチロシン残基の欠失および点変異体を発現する細胞の過酸化水素処理を行い、変異の導入によるチロシンリン酸化の変化を指標とした解析を行ない、次いで試験管内でδ分子種の変異体を非受容体型チロシンキナーゼLckおよびBtkを用いてリン酸化し、これらの結果から、δ分子種ではそのヒンジ領域および触媒領域内の合計3カ所のチロシン残基がリン酸化を受けることが示された。現在、これらの残基のリン酸化を質量分析法により直接、確認するための試料を調整している。一方、δ分子種のGFP融合蛋白質を構築し、その細胞内動態を共焦点レーザー顕微鏡下に観察し、ジアシルグリセロールを生成する生理活性物質刺激ではδ分子種の細胞膜移行が観察されるものの、過酸化水素処理は本分子種の細胞膜移行を誘導しないことから、チロシンリン酸化は細胞膜移行とは独立の機構でδ分子種を活性化することが示唆された。また、PKC分子種の結合蛋白質を分離し、その性質を検討したが、δ分子種と結合蛋白質との相互作用はチロシリン酸化によっては影響を受けなかった。なお同時にPKC分子種のジアシルグリセロール結合領域の合成ペプチドを作成しその解析を行っている。今後、これらの成果に基づき、PKC分子種のチロシリン酸化の意義の検討を実施する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohmori,S.: "Three distinct mechanisms for translocation and activation of the δ subspecies of protein kianse C." Mol.Cell.Biol.18・9. 5263-5271 (1998)
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[Publications] Tokunaga,C.: "Molecular cloning and characterization of a novel protein kinase C-interacting protein with structural motifs related to RBCC family proteins." Biochem.Biophys.Res.Commun.244・2. 353-359 (1998)
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[Publications] Tokunaga,C.: "Molecular cloning and characterization of RBCK2,a splicing variant of a RBCC family protein,RBCK1." FEBS Lett.435・1. 11-15 (1998)
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[Publications] Tatematsu,K.: "Transcriptional activity of RBCK1 protein(RBCC protein interacting with PKC 1):requirement of RING-finger and B-Box motifs and regulation by protein kinases." Biochem.Biophys.Res.Commun.247・2. 392-396 (1998)
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[Publications] Takeuchi,H.: "PTB domain of insulin receptor substrate-1 binds inositol compounds." Biochem.J.334・1. 211-218 (1998)
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[Publications] Irie,K.: "Studies of the molecular basis for protein kinase C(PKC)isozyme selective binding: the synthesis,folding,and phorbol ester binding of the cysteine-rich domains of all PKC isozymes" J.Am.Chem.Soc.120・36. 9159-9167 (1998)