1999 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンリン酸化反応によるPKCファミリーの活性化とその生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
10470031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 和成 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (00280925)
酒井 規雄 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教授 (70263407)
小西 博昭 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (40252811)
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Keywords | PKC / ジアシルグリセロール / 蛋白質リン酸化酵素 / チロシンリン酸化 / 酸化ストレス / 変異体 / GFP融合蛋白質 / 細胞膜移行 |
Research Abstract |
PKCは細胞膜イノシトールリン脂質の加水分解により生成されるジアシルグリセロールをセカンドメッセンジャーとして活性化される蛋白質リン酸化酵素であり、10種類の分子種が同定されている。PKC分子種のうちδ分子種は各種の細胞刺激によりチロシンリン酸化を受けることが報告されている。一方、私どもは全てのPKC分子種が酸化ストレスによりチロシンリン酸化を受けるとともにその活性が上昇し、ことにδ分子種は顕著に活性上昇が誘導されることを明らかにしている。本研究ではδ分子種を用いて、チロシンリン酸化反応による活性調節機構とその意義を明らかにすることを目的として検討を行った。まず、過酸化水素処理による酸化ストレスはチロシンホスファターゼ活性を阻害することにより細胞内蛋白質のチロシンリン酸化を引き起こすことから、過酸化水素と各種のチロシンホスファターゼ阻害剤のδ分子種のチロシンリン酸化に対する効果を比較した。その結果、チロシンホスファターゼの阻害のみではδ分子種のチロシンリン酸化は起こらないことから、過酸化水素処理はチロシンキナーゼの活性化を介してδ分子種のチロシンリン酸化を誘導すると考えられた。そこで、過酸化水素処理により活性化を受けることが報告されている非受容体型チロシンキナーゼLckによって、δ分子種のチロシンリン酸化を試験管内で試みたところ、δ分子種は実際にLckによりリン酸化を受け、その蛋白質リン酸化酵素活性の上昇が生じた。また、去年度の研究により同定されたδ分子種のヒンジ領域内のチロシン残基を置換した変異体では活性上昇は観察されなかった。なお、チロシンリン酸化によるδ分子種の活性化は細胞刺激の数時間後も持続していることから、PKCの活性型への変換は細胞の長期的応答に関与していると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Konishi,H.: "Opposing effects of protein kinase C δ and protein kinase B α on H_2O_2-induced apoptosis in CHO cells"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 264・3. 840-846 (1999)
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[Publications] Konishi,H.: "Activation of protein kinase B induced by H_2O_2 and heat shock through distinct mechanisms dependent and independent of phosphatidylinositol 3-kinase"J.Biochem.. 126・6. 1136-1143 (1999)
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[Publications] Fujimoto,K.: "Identification of protein kinase C phosphorylation sites involved in phorbol ester-induced desensitization of the histamine H1 receptor"Mol.Pharmacol.. 55・4. 735-742 (1999)
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[Publications] Kitamura,T.: "Insulin-induced phosphorylation and activation of cyclic nucleotide phosphodiesterase 3B by the serine-threonine kinase Akt"Mol.Cell.Biol.. 19・9. 6286-6296 (1999)
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[Publications] Irie,K.: "Synthesis and phorbol ester-binding studies of the individual cysteine-rich motifs of protein kinase D"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 9・17. 2487-2490 (1999)
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[Publications] Takeishi,H.: "Regulation of nuclear translocation of Forkhead transcription factor AFX by protein kinase B"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 96・21. 11836-11841 (1999)