2001 Fiscal Year Annual Research Report
カルニチン欠乏に基づく心肥大において発現異常を示す新規遺伝子の機能と役割
Project/Area Number |
10470042
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10056070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 幹雄 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00305111)
堀内 正久 鹿児島大学, 医学部, 講師 (50264403)
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70108869)
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Keywords | カルニチン欠乏 / JVSマウス / 心肥大 / CDV-1 / PDK4 / CDV-3 |
Research Abstract |
JVS (juvenile visceral steatosis)マウスはカルニチンの細胞膜輸送タンパク質(Octn2)の欠損に基づくヒト全身性カルニチン欠乏症の疾患モデルである。その多彩な症状の一つが心肥大である。JVSマウスの肥大心において発現異常を示す新規遺伝子CDV (carnitine deficiency-associated gene expressed in ventricle)を3種発見し、その構造と機能の解析を行ってきた。CDV-2はその後の解析によってマウスのpyruvate dehydrogenase kinase4(PDK4)であることが判明したが、 JVSマウス心臓において発現が促進しており、また絶食によってさらに発現は増強される。しかし、そのような条件下でもカルニチンを供給するとPDMの発現は低下する。PDK4本来の基質と機能を明らかにする目的で、PDK4タンパク質の存在様式を検討した。その結果、PDK4タンパク質は、ミトコンドリア分画にあり、Triton X-100存在下で100,OO0xg沈澱に回収され、ショ糖密度勾配遠心法によって、pyruvate dehydrogenase complexと結合することが判明した。その結合はSH試薬の存在有無によって影響された。PDK4の生理的役割およびSH試薬でみられた結合様式についてはさらに検討を要する。もう一つの新規遺伝子であり、JVSマウス心筋において発現が増加するCDV-3のゲノムおよびcDNA構造を明らかにできた。CDV-3 cDNAの構造はヒトのがん細胞中で発現冗進する核タンパク質(H41)と高いホモロジーがあった(論文作成中)。心肥大の原因を追及する目的で、食餌中の脂質含量の効果,ならびにJVSマウスで代謝可能な中鎖脂肪酸からなる中性脂肪(MCT)の効果を検討した。カルニチンを含有しない合成食の脂質含量を5%から1%に減少すると、心肥大の程度は有意に低下した。また脂質を完全に除いてもそれ以上心肥大の改善は認められなかった。5%および1%脂質にMCTを4%加えても、肥大の程度は変化しなかった。以上の結果は、心肥大の原因が、エネルギー不足によるものではないことを示している。ANP、skeletalα-actin、およびCDV-1遺伝子の発現も脂質含量を下げることで、より正常化した。以上の結果(論文作成中)から、カルニチン欠損による心肥大の発症機構には脂肪酸の毒性が関係しているものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Li MX, Kobayashi K, et al.: "Hyperammonemia in carnitine-deficient JVS mice at adult age caused by starvation"Metab.Brain Dis.. (in press). (2002)
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[Publications] 佐伯武頼, 小林圭子: "新ミトコンドリア学"共立出版. 6 (2001)