2001 Fiscal Year Annual Research Report
Crkを介する癌遺伝子産物と癌抑制遺伝子産物のクロストーク
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10470064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 道行 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10199812)
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Keywords | Crk / 上皮細胞増殖因子 / リン酸化 |
Research Abstract |
昨年度、Crk癌遺伝子産物の活性化をモニターするために、Crkのリン酸化を生細胞でみるためのプローブを作成し、Crk蛋白の上皮細胞増殖因子依存性のリン酸化を解析した。その結果、上皮細胞増殖因子の細胞膜での刺激が、リン酸化されたCrkにより速やかに細胞内を伝播していく様子を画像化できた。しかし、このプローブにおいてはプローブの細胞内での拡散が非常に早いために、細胞内のどこでCrkのリン酸化が始まっているかが解析できなかった。そこで、このプローブにK-Ras蛋白のCAAXドメインを融合させ、このプローブが細胞膜のみに局在するようにした。この改良型プローブを用いることにより、上皮細胞増殖因子の刺激が、辺縁部の細胞膜においてCrkのリン酸化を誘導する様子を画像化することができた。さらに、このプローブを用いてCrk癌遺伝子産物の活性化状態をより、広範囲の細胞で画像化するために、このプローブの遺伝子をコードする組替えアデノウイルスを作成した。このウイルスを用いることにより、ヒト、サル、げっ歯類のさまざまな培養細胞を用いてCrkのリン酸化を可視化することに成功した。また、HeCdレーザーを装備したEvanescent field顕微鏡を用いることにより、細胞の接着斑においてCrkがリン酸化する様子も可視化できた。以上の結果は、Crkのリン酸化が細胞の増殖や細胞運動において時間的、空間的に制御されていることを示すものである。今後、この系をもちいて、さまざまな細胞事象におけるCrk癌遺伝子産物の役割が明らかにされていくものと期待される。
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Research Products
(1 results)