1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作マウスを用いた住血吸虫症ワクチン開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
10470066
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 荘明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早野 真史 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10272329)
|
Keywords | 住血吸虫症 / 防御免疫 / 遺伝子操作マウス / ワクチン / サイトカイン |
Research Abstract |
住血吸虫症ワクチンの開発に資するため、遺伝子操作マウスを用いて住血吸虫感染に対する防御免疫機構について検討した。まず、日本住血吸虫感染においては、γ線照射セルガリアを免疫に用いた場合、DBA/2マウスでは攻撃感染に対する強い防御免疫が誘導されるのに対し、C57BL/6では全く防御免疫が誘導されないが、このことをC57BL/10やB10D2マウスなどを用いて再度確認するとともに、Th1及びTh2サイトカイン応答について検討した。その結果、DBA/2やBALB/cではIFNγの産生が認められるのに対し、C57BL/6ではその産生が全く認められないことが判明した。そこでTh1応答に障害のみられることが予想されるIRF-1遺伝子欠損(KO)マウスを用いて、マンソン住血吸虫感染に対する防御免疫について検討したところ、KOマウスでは有意な感染防御が観察されず、脾細胞の免疫応答では、野生型(WT)と比較し、Th2(IL-4、IL-10)の2次応答は同程度に起こるが、IFNγの2次応答は顕著に低下していることが判明した。また、産生されたサイトカイン総体としてのマクロファージ刺激能を、シストソミュラ傷害性およびNO産生で検討したところ、いずれも顕著に低下していた。さらに、組換えIFNγでの刺激実験により、マクロファージ自体のシストソミュラ傷害能も、低下していることが明らかになった。以上の事実から、転写因子IRF-1はマンソン住血吸虫感染に対する防御免疫において必須であることが明らかになった。一方、好酸球増多のみられるIL-5トランスジェニックマウスでは、この免疫方法では日本住血吸虫感染に対する防御免疫を誘導することができなかったことから、in vitroの系で抗体依存性シストソミュラ傷害作用をラット好酸球と比較したところ、マウス好酸球は後者に比べ傷害作用が弱いことが判明した。また、その理由として、幼虫への接着能並びにペルオキシターゼやO_2の産生と分泌が低いことが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Wagatsuma,Y.: "Resolution and resurgence of Schistosoma haematobium-induced pathology after community-based chemotherapy in Ghana,as detected by ultrasound"J.Infect.Dis.. 179・6. 1515-1522 (1999)
-
[Publications] Feng,C.: "An alternate pathway for type 1 T cell differentiation"Int.Immunol.. 11・8. 1185-1194 (1999)
-
[Publications] Aryeetey,M.E.: "Health education and community participation in the control of urinary schistosomiasis"East African Med.J.. 76・6. 324-329 (1999)
-
[Publications] Hayashi,N.: "Kupffer cells from Schistosoma mansoni-infected mice participate in the prompt type 2 differentiation of hepatic T cells"J.Immunol.. 163・12. 6702-6711 (1999)
-
[Publications] Chen,H.: "Vaccinatics of domestic pig with recombinant paramyosin against Schistosoma japonicum in China"Vaccine. (in press).
-
[Publications] 小島荘明: "日本における寄生虫学の研究 第6巻"目黒寄生虫館. 672 (1999)