2000 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスNS1,NS2蛋白のウイルス工学的,細胞生物学的研究
Project/Area Number |
10470075
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
榎並 正芳 金沢大学, 医学部, 助教授 (30168794)
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Keywords | インフルエンザウイルス / NS1 / NS2 / ウイルスベクター / ワクチン |
Research Abstract |
(目的)インフルエンザウイルスのNS遺伝子組換えウイルスを利用して、1)ウイルスの病原性を規定する因子を明らかにする、2)NS1,NS2蛋白の機能解析を行う。3)種々の抗原を発現するウイルスを迅速に作成する系を開発する。培養細胞レベルと実験動物レベルで、ウイルス複製と遺伝子発現、病理学的、免疫学的解析を行う。 (方法)インフルエンザウイルスA型の遺伝子組換えはRNaseH法(Enami & Enami,2000)を用いた。NS2ACATウイルスのNSゲノムは、NS1のN端側151残基の下流に自己切断活性を持つ17残基の2Aプロテアーゼ配列を挟んでCAT遺伝子を挿入した。 (結果)NS2ACATウイルスは、感染の初期過程は正常で、後期蛋白の発現とウイルス粒子形性が抑制され、温度感受性となり、マウスに対して高度に弱毒化された。培養細胞レベルではNS1とCATの融合蛋白を発現した後、その20%は直ちに自己切断され成熟型蛋白となった。NS2蛋白の発現は野生株の20%程度であった。感染24時間後には発現CAT蛋白の50%が培養上精中に検出された。マウス肺ではウイルスの僅かな複製とCATの発現が確認され、血中IgG抗体価の僅かな上昇が見られた。当該ウイルス感染マウスは、致死量のWSNウイルス感染に対し完全に感染防御がみられた。マウスから分離したTリンパ球と精製CAT蛋白を用いたin vitroの解析では、γインターフェロンの誘導、CTL活性が確認された。 (考察)当該ウイルスの弱毒化の機構は、ウイルス粒子形成の抑制による。今後は、NS1と相互作用する宿主因子の解析を行う必要がある。
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[Publications] Masayoshi Enami: "Characterization of influenza virus NS1 protein by using a novel helper-virus-free reverse genetic system"Journal of Virology. 74. 5556-5561 (2000)
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[Publications] 榎並正芳: "インフルエンザウイルスのリバースジェネティクス"Medical Briefs in Virus Infection. 13. 12-13 (2000)