1999 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系の金属イオン膜輸送機構と脳機能 -必須微量金属の膜輸送蛋白の動態を中心として-
Project/Area Number |
10470093
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
齋藤 健 北海道大学, 医学部, 助教授 (40153811)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00244541)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
高橋 恭子 北海道大学, 医学部, 助手 (50292008)
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
|
Keywords | 金属イオン膜輸送蛋白 / ATP7B / copper / 中枢神経系 / 微量元素代謝 |
Research Abstract |
本研究では、1.今日まで明らかにされた金属イオン膜輸送蛋白の脳内での動態を明らかにすること、2.種々の金属に特異性の高い金属イオン膜輸送蛋白を発見し、その同定法を確立すること、3.記憶学習機能や神経伝達機能との関連など、金属イオン膜輸送蛋白の神経生理学的意味を明らかにし、さらに、4.金属イオン膜輸送機構と痴呆症、パーキンソン病など神経難病や脳の老化機構との関連などを検討し、神経疾患のマーカーの発見や予防・治療法を開発することを目的とする。 本年度の研究で得られた主な成果は、以下のごとくである。 神経症状を示す銅代謝異常疾患であるウィルソン病は、銅膜輸送蛋白であるATP7Bの欠損により引き起こされることが知られており、神経症状発生機構の解明のためには、生体内のATP7Bの役割を明らかにすることが必要である。そこで、ATP7B抗体を作製し、脳および腎臓の臓器内ATP7B分布を初めて明らかにした。脳内のATP7Bの分布は、金属結合蛋白として知られるメタロチオネインおよび銅、亜鉛結合スーパーオキサイドディスムターゼの分布と一致しており、これらの機能維持に密接に関連することが示唆された。また、ウィルソン病のモデル動物であるLECラットとATP7Aの欠損疾患メンケス病のマキュラーマウスとでは、腎臓内の銅分布が異なっていることから、二つの銅膜輸送蛋白の腎臓での役割の違いが明らかになった。 脳の老化と微量金属および金属イオン膜輸送蛋白の関連を明らかにするために、老化促進モデルマウスの内、学習記憶障害を呈するSAMP10を用いて検討した結果、SAMP10の脳で、金属異常代謝異常が認められること、この代謝異常に、亜鉛および銅の膜輸送蛋白が関与していることが明らかになった。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Saito, T., et al.: "Immunohistochemical determination of the Wilson Copper-transporting P-type ATPase in the brain tissues of the rat"Neurosci Lett. 266. 13-16 (1999)
-
[Publications] 齋藤 健: "老年期痴呆予防における亜鉛の有効性有無"日本医事新報. 3933. 116 (1999)
-
[Publications] Okabe, M., et al.: "Histochemical studies on renal copper-metallothionein using confocal laser microscopy"Trace Elements and Electrolytes. 16. 61-66 (1999)
-
[Publications] Kurasaki, M., et al.: "Histochemical Characterization of Silver-Induced Metallothionein in Kidney of Rat"J. Inorg. Biochem. (in press).
-
[Publications] Ito, T., et al.: "Effect of zinc deficiency on the response of immobilization stress for the adult"Trace Elements and Electrolytes. (in press).
-
[Publications] Okabe, M., et al.: "Metallothionein IV"Birkhauser,Basel. 645 (1999)
-
[Publications] Saito, T., et al.: "Trace Elements in Man and Animal"Plenum Publishing Co.,New York (in press).