1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国における飲料水を介した砒素、フッ素への複合曝露による健康障害の解明
Project/Area Number |
10470099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
吉田 貴彦 東海大学, 医学部, 助教授 (90200998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 浩幸 東海大学, 医学部, 助手 (40102850)
佐藤 勉 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (60130671)
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
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Keywords | 砒素 / フッ素 / 複合曝露 / 皮膚の硬化 / 骨の脆弱化 / サイトカイン・増殖因子 |
Research Abstract |
我々のフィールド調査により、中国で飲料水を介した砒素およびフッ素への複合曝露により健康障害が発生していることが明らかとなっている。そこで今回の初年度は、動物実験により慢性砒素中毒がフッ素への複合曝露により受ける修飾について検討した。雄・雌の4週齢のC57BL/6Nマウスに、50および100日間にわたり飲料水として、砒素、フッ素および砒素フッ素を混合で投与した。砒素投与は亜砒酸ナトリウムを砒素として1ppm(1m9/L)および10ppm(10m9/L)、フッ素投与はフッ化ナトリウムをフッ素として1ppm(1m9/L)、混合投与は砒素・フッ素それぞれ1ppm(1m9/L)に蒸留水で調整して給水瓶にて自由に飲水させた。対照群には蒸留水を与えた。給水瓶は1週間に2度調整し、投与前・後の給水瓶の重量を測定し飲水量を求めた。雄では、高濃度砒素群、フッ素群、フッ素砒素混合群に飲水量の低下が見られた。雌ではフッ素群の飲水量が増加した。曝露終了後、炭酸ガス過麻酔にてマウスを安楽死させる。それぞれの曝露量の評価は、砒素について尿中・血中砒素量の測定、フッ素について尿中フッ素量の測定で行った。左下腹部の皮膚を外側下方の方向に切りだし10%ホルマリンPBS溶液にて固定後に顕微鏡組織標本を作成した。また、およそ1cm平方の腹部皮膚および脾臓のおよそ半分からmRNAを抽出し、GM-CSFおよびTGFαのmRNA発現量を観察した。さらに脊柱および大腿骨の骨強度および骨密度を測定した。砒素の曝露により皮膚の硬化が起こり組織学的にも真皮層のコラーゲン線維束の太化が観察された。これらの変化にGM-CSFの関与が示唆された。一方、フッ素の混合曝露が砒素による硬化を抑制する可能性がある。フッ素曝露のみならず砒素単独曝露によっても骨の脆弱化が観察された。現在、これらの可能性につき検索中である。
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