2000 Fiscal Year Annual Research Report
無症候性脳血管障害の発生と進展に関する分子疫学研究
Project/Area Number |
10470102
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20171994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 潤 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40133946)
|
Keywords | 無症候性脳血管障害 / 遺伝子多型 / 高齢者 / 地域住民 / 24時間自由行動下血圧 / 家庭血圧 / 危険因子 / 循環器疫学 |
Research Abstract |
地域在住の高齢者を対象とした分子疫学研究、ならびに長期追跡調査を行い、高血圧関連遺伝子の調査ならびに脳心血管疾患死亡と24時間自由行動血圧値、家庭血圧値との関連を明らかとした。以下にその研究内容を報告する。 1.地域住民に対する遺伝子研究の成果 (1)これまで黒色人種においては、上皮性Naチャネル(EnaC)の遺伝子多型(T594M)が報告され、高血圧と関連していると報告されている。しかしながら日本人においては十分なサンプルでの検討は行われていなかった。そこでT594MならびにEnaCに影響を与える遺伝子多型について調査を行った。その結果、家庭血圧測定を行った一般住民(約2000名)から無作為抽出された803名には高血圧関連遺伝子であるT594M多型は認められなかった、一方で同じくEnaCに影響を与える12エクソン上にP592S多型が認められた(4/803)。この多型と家庭血圧値及び高血圧の有病率には有意な関係は認められなかった。 2.血圧値と脳心血管死亡との関連 (1)24時間血圧測定により測定した血圧、心拍の短期変動性(日内変動)が脳心血管疾患に及ぼす影響について調査を行った。その結果、これら変動性が種々の危険因子と独立した危険因子であることを明らかとした。同時に家庭血圧で測定した血圧の長期変動性(日間変動)が脳心血管疾患死亡の予測因子であることを明らかとした。 (2)家庭血圧で判定した孤立性収縮期高血圧(収縮期血圧のみ高値)者、収縮期拡張期高血圧(いずれの血圧も高値)者は正常血圧者と比べて有意に脳心血管死亡の相対危険度が大きかった。一方、孤立性拡張期高血圧(拡張期血圧のみ高値)者の予後は正常血圧者と有意差がなかった。以上の結果より脳心血管死亡予防のためには収縮期血圧を指標とした治療を行うべきであるということが示唆された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Takami S, et al: "Gene polymorphism of renin-angiotensin system associates with risk for lacunar infarction : The Ohasama Study."American Journal of Hypertension. 13. 121-127 (2000)
-
[Publications] Ishikawa K, et al: "Human G-protein beta3 subunit variant is associated with serum potassium and total cholesterol levels but not with blood pressure."American Journal of Hypertension. 13. 140-145 (2000)
-
[Publications] Matsubara M, et al: "Japanese individuals do not harbor the T594M mutation but do have the P592S mmutation in the C-terminus of the beta-subunit of the epithelial sodium channel : the Ohasama study."Journal of Hypertension. 18. 861-866 (2000)
-
[Publications] Hozawa A, et al: "Prognosis of isolated systolic and isolated diastolic hypertension as assessed by self-measurement of blood pressure at home : the Ohasama study."Archives of Internal Medicine. 160. 3301-3306 (2000)
-
[Publications] Kikuya M, et al: "Prognostic significance of blood pressure and heart rate variabilities : the ohasama study."Hypertension. 36. 901-906 (2000)