2000 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病をはじめとする気分障害と家族の感情表出に関する研究
Project/Area Number |
10470108
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三野 善央 岡山大学, 医学部, 助教授 (80181965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下寺 信次 高知医科大学, 医学部, 助手 (20315005)
青木 省三 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80144749)
井上 新平 高知医科大学, 医学部, 教授 (20125826)
大津 忠弘 岡山大学, 医学部, 助手 (10325087)
津田 敏秀 岡山大学, 医学部, 講師 (20231433)
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Keywords | 感情表出 / 家族 / 気分障害 / うつ病 / 臨床疫学 / 根拠に基づく医療 |
Research Abstract |
研究対象は昨年に引き続いて、地域精神保健を担っている精神病院、および高知医科大学神経精神科、川崎医科大学精神科を受診した気分障害圏の患者30名とその家族を新たな研究対象とした。対象となる患者と家族に研究の目的とその内容を説明し、文書によるインフォームドコンセントを得た後、家族(主には父母および配偶者)を対象にカンバウェル家族面接(CFI)を行い、EE評価を行った。ひとりの家族でも高EEと判定された場合には患者を高EE群、それ以外を低EE群として、コホート研究を行った。観察期間は2年に設定し、治療開始後の経過を比較検討した。 経過の観察にはやはりEE評価とは独立した精神科医が当たり、1カ月ごとにハミルトンうつ病評価尺度(Hami1ton depression rating scale)、およびうつ病診断調査票(Inventory to diagnose depression : IDD)を用いて気分障害の症状評価を行った。2年のコホート研究の分析を行い、一定の基準で再発を定義し、高EE群と低EEの再発リスクを比較検討した。2年間再発リスク比(95%信頼区間)は3.60(1.57-8.26)であった。性、診断、罹病期間などの交絡要因をコントロールした多重ロジスティック回帰分析を行ったが、調整オッズ比(95%信頼区間)は4.20(1.23-9.91)であった。したがって2年間の観察期間でも家族のEEの気分障害の経過に及ぼす影響は重要と考えられた。 また、これからの家族への心理社会的介入による気分障害の予後の改善のための具体的方法を検討し、わが国の気分障害患者の家族に最適な家族教室、家族介入方法を確立するための資料を作成した。本年度は当該研究の最終年度に当たることから、最終報告書の作成、論文の執筆を行った。
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[Publications] Mino Y et al: "Evaluation of expressed emotion (EE) status in mood disorders in Japan : Inter-rater reliability and characteristics of EE"Psychiatry Research. 94. 221-227 (2000)
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[Publications] Shimodera S et al: "Expressed emotion and family distress in relatives of patients with schizophrenia in Japan"Comprehensive Psychiatry. 41. 392-397 (2000)
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[Publications] 三野善央: "分裂病と家族の感情表出(EE)-看護者こそが援助の主体に!-"精神科看護. 27. 32-36 (2000)
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[Publications] 三野善央: "分裂病と家族のEE(感情表出):家族は援助を求めている"現代のエスプリ. 392. 127-135 (2000)
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[Publications] Mino Y et al: "NO relationship between schizophrenic birth and influenza epidemics in Japan"Journal of Psychiatric Research. 34. 133-138 (2000)
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[Publications] 三野善央: "精神障害者の地域ケア"綜合臨牀. 49. 765-766 (2000)
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[Publications] 津田敏秀 他: "我が国の社会医学における因果関係論の構築を目指して"日本衛生学雑誌. 55. 462-473 (2000)
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[Publications] 三野善央: "精神分裂病患者数の推移"日本医事新報. 3987. 111-112 (2000)
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[Publications] Shimodera S et al: "Expressed emotion and psychoeducational intervention for relatives of patients with schizophrenia : a randomized controlled study in Japan"Psychiatry Research. 96. 141-148 (2000)
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[Publications] Mino Y et al: "Expressed emotion of families and the course of mood disorders : a cohort study in Japan"Journal of Affective disorders. (in press).
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[Publications] 三野善央: "家族心理教室の現状と課題"地域精神保健福祉情報Review. (印刷中).
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[Publications] 下寺信次 他: "自宅訪問による心理教育"地域精神保健福祉情報Review. (印刷中).
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[Publications] 三野善央 他: "岡山県における保健所精神保健福祉活動と地域精神保健福祉センター機能"病院地域精神医学. (印刷中).
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[Publications] 三野善央: "世界の精神保健医療"ヘルス出版(印刷中).
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[Publications] 三野善央: "スタンダード公衆衛生学"文光堂(印刷中).
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[Publications] 三野善央: "臨床心理学第4巻,異常心理学."東京大学出版会(印刷中).