1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの滑膜細胞増殖にかかわる分子群の解析とその制御
Project/Area Number |
10470124
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宮坂 信之 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (30157622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上阪 等 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00251554)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜増殖 / サイクリン / サイクリン依存性キナーゼ / 遺伝子療法 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)は関節滑膜を炎症の主座とする全身性かつ慢性の難治性疾患である。炎症が進展すれば滑膜組織が増殖し、軟骨・骨の来し、患者の生活の質(QOL)は著しく低下する。したがって、滑膜増殖の分子機構を解明することは、新たな治療法の解明につながるものである。そこで、我々は細胞周期を規定する分子であるサイクリン、サイクリンキナーゼ(CK)、サイクリンキナーゼ・インヒビター(CDKI)の発現について検討し、特にCDKI遺伝子導入による滑膜増殖の人為的制御を試みた。まず、正常及びRA滑膜組織におけるCDKI(p15,p16,p21,p27)の発現は、両者とも等しくp27を発現していたが、その他のCDKIは発現していなかった。次に、RA滑膜細胞を放射線照射、高濃度培養、低血清培養、長期培養などの方法によって対数増殖を阻止すると、p27発現は増強され、p16及びp21発現が新たに誘導された。これに対して、対照として用いた正常線維芽細胞ではp27発現は増強され、p21発現も誘導されたが、p16発現は誘導されなかった。次に、in vitroにおいてRA滑膜細胞あるいは正常線維芽細胞を低血清培地で培養した後に高濃度血清培地に戻し、細胞増殖とp16発現を検討したところ、正常線維芽細胞は増殖したのに対して、RA滑膜細胞はもはや増殖しなかった。以上より、p16発現により滑膜細胞増殖が抑制される可能性が示唆された。そこで、RAの動物モデルであるアジュバント関節炎ラット関節内にアデノウイルスを用いてin vivoにp16遺伝子導入を行うと、関節炎の発症が有意に抑制された。以上より、p16遺伝子発現を人為的に誘導することにより、RA滑膜増殖を負に制御することが可能であることが示唆された。
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