1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチのIL-6を標的とした分子・遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
10470126
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西本 憲弘 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80273663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
超智 隆弘 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80112035)
吉崎 和幸 大阪大学, 健康体育部, 教授 (90144485)
松本 智成 大阪大学, 健康体育部, 助手 (10311763)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / サイトカイン / インターロイキン6(IL-6) / 腫瘍壊死因子(TNFα) / ヒト型化抗体 / 可溶性IL-6レセプター / SSI-1 / ネガティブフィードバック |
Research Abstract |
1 抗インターロイキン-6レセプター(IL-6R)抗体による関節炎症ならびに間接破壊の予防効果をマウスならびにサルのコラーゲン誘導関節炎モデルを示した。 2 マウスモノクローナル抗体の相補性決定領域の遺伝子をヒト免疫グロブリン遺伝子に導入し作成したヒト型化抗IL-6R抗体によるIL-6シグナル阻害治療が、既存の抗リウマチ薬に抵抗性を示した難治性RA患者に対し有効であることを明らかにした。すなわち、IL-6がRA病態形成の重要なサイトカインの一つであり、IL-6シグナル阻害がRAの新しい治療法となりうることを立証した。 3 IL-6はsIL-6Rの存在下で、RA滑膜細胞の増殖を抑制し、TNFαによる増殖刺激作用と拮抗すること、さらにTNFα刺激によって滑膜細胞から産生されるIL-6は、TNFαによる滑膜増殖のネガティブフィードバック因子として作用することを示した。RAの主病態と考えられる滑膜増殖はサイトカインのバランス異常に伴う二次的なものである可能性を示した。 4 SCIDマウスに、ヒトRA関節組織を移植して作成したヒトRAモデルマウスを用いた治療実験から、RAに対するIL-6阻害の治療効果は滑膜増殖に対する直接的な作用ではなく、単核球を中心とする炎症性細胞の浸潤の阻止、破骨細胞の活性化や血管新生の阻害によることを明らかにした。このことはIL-6の標的細胞を選択することで、より副作用が少なくより有効な治療法の確立が可能であることを示唆する。 5 IL-6にはSSI-1と呼ばれる内因性のネガティブフィードバック因子が存在することを見出した。RA滑膜細胞ではSSI-1ならびにそのファミリー分子の一つであるSSI-3がIL-6/sIL-6R刺激によって誘導され、RAの炎症病態に関与している可能性が考えられた。特にSSI-3はIL-6刺激後24時間以上にわたって発現が持続することからSSI-3がより重要な意味を持つ可能性がある。また、この分子の導入によるIL-6細胞内シグナルの制御の可能性を多発性骨髄腫細胞を用いて明らかにした。以上の結果からIL-6を標的とした分子・遺伝子治療の可能性を示した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Nishimoto, N., Yoshizaki,K., and Kishimoto, T.: "Anticytokine therapy in autoimmune diseases"Internal Medicine. 38. 178-182 (1999)
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[Publications] Nishimoto, N., Sasai, M., Shima, Y., Nakagawa, M., Matsumoto, T., Shirai, T., Kishimoto, T.,and Yoshizaki, K.: "Improvement in Castlman's by humanized anti-Interleukin-6 receptor antibody therapy"Blood. 95. 56-61 (2000)
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[Publications] Nishimoto, N., A. Ito, M., Ono, H. Tagoh, T. Matsumoto, T. Tomita, T. Ochi,and K. Yoshizaki: International Immunology(in press). 12. (2000)
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[Publications] Mori, Y., N. Nishimoto, M. Ohno, R. Inagi, P. Dhepakson, K. Amou, K. Yoshizaki and K. Yamanishi.: "Human Herpesvirus 8-encoded Interleukin-6 homologue(viral IL-6) induces endogenous human IL-6 secretion"J. Med. Virol. (in press). (2000)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "慢性間接リウマチ-抗サイトカイン療法をめぐって"現代医療. 31. 192-196 (1999)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "IL-6阻害による多発性骨髄腫治療"細胞. 31. 362-365 (1999)
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[Publications] 吉崎和幸,松本智成,橋本淳,松野博明,富田哲也,超智隆弘,西本憲弘: "ヒト型化抗インターロイキン6抗体によるインターロイキン6のシグナル阻害による骨粗鬆症の発症予防と治療法の開発"協栄生命研究助成論文集. 15. 45-49 (1999)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "ヒトヘルペスウイルス8感染とBリンパ球増殖性疾患"最新医学9月増刊号 臨床遺伝学'99. 54. 283-287 (1999)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "抗サイトカイン療法-現状と将来の展望-"Pharma Medica. 17. 95-100 (1999)
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[Publications] 西本憲弘,松本智成,吉崎和幸: "抗サイトカイン療法"カレントテラピー. 17. 150-154 (1999)
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[Publications] 西本憲弘,松本智成,橋本淳,松野博明,富田哲也,超智隆弘,吉崎和幸: "インターロイキン6のシグナル伝達阻害による骨粗鬆症の治療法の開発"Osteoporosis Japan. 7. 34-37 (1999)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "Castleman病とMCD -IL-6シグナル阻害による治療-"医学のあゆみ. 188. 942-948 (1999)
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[Publications] 西本憲弘、吉崎和幸: "リウマチ病セミナーX.TNFαおよびIL-6阻害による慢性関節リウマチの新しい治療法"永井書店. 361 (1999)
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[Publications] 西本憲弘,吉崎和幸: "新臨床医のための分子医学シリーズ・サイトカインと疾患.ウイルス感染とサイトカイン(in press)"医科学図書出版. (2000)