1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝内および肝外転移を有する進行肝細胞癌に対する遺伝子治療の確立
Project/Area Number |
10470132
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金子 周一 金沢大学, 医学部, 助教授 (60185923)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 肝癌 / アルファフェトプロテイン / アデノウイルス |
Research Abstract |
ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子を治療遺伝子とするアデノウイルスベクターを作製した。HSV-TKの発現はαフェトプロテインの発現調節領域を用いて行った。このαフェトプロテインの調節領域はエンハンサーを2個、サイレンサーを6個つないだものを用い、短いDNA断片としただけでなく、肝癌における特異性を高めた。またこの発現調節領域の発現量は十分でないことが、これまでの検討で明らかにされてきたため、Cre-loxPの発現コントロールを導入した。また発現検討のために、LacZを発現遺伝子とするベクターも作製した。各種の培養細胞における検討に加え、ヌードマウスにおける肝癌移植モデルを用いた。皮下移植モデルに加え、脾臓より癌細胞を注入し、全身転移モデルを作製した。 Cre-loxPを用いた発現システムでは極めて高い活性が得られ、特異性もよく保たれていた。また皮下移植モデルへの直接の注入だけでなく、全身転移モデルではマウス尾静脈から注入し、全身投与の検討を行ったが、LacZの発現は、肝内の転移巣や肺内の転移巣にもみられた。こうしたことより、このアデノウイルス、αフェトプロテイン、Cre-loxPのシステムの有用性が考えられた。HSV-TKを用いたベクターでも培養細胞における高い発現が得られ、細胞障害性も優れていた。全身転移モデルにHSV-TKベクターを注入し、現在その効果を検討中であるが、全身転移モデルの作製自体の安定した作製に時間を要している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yumi Sato: "Enchanced and specific gene expression via tissue-specific production of Cre recombinase using adenovirus vector" Biochemical and Biophysical Research Communications. 244. 455-462 (1998)
-
[Publications] Shuichi Kaneko: "Gene therapy vectors harboring AFP regulatory sequences:preparation of an adenoviral vector" The Humana Press Inc. Nagy Habib(eds) Methods in Molecular Medicine. (in press).