2000 Fiscal Year Annual Research Report
ビリルビン抱合酵素遺伝子の変異とGilbert症侯群の発症に関する研究
Project/Area Number |
10470133
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
足立 幸彦 三重大学, 医学部, 教授 (50111026)
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Keywords | ビリルビンUDPグルクロン酸転移酵素 / 血清ビリルビン / 遺伝子診断 / 絶食高ビリルビン血症 / 体質性黄疸 / Gilbert症候群 / Crigler-Najjan症候群 / 人種差 |
Research Abstract |
1.日本人におけるビリルビンUDPグルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の多型、変異 健常日本人の白血球のUGT1A1遺伝子検索を進めた。G71R変異のアレル頻度は13.8%、Y486D変異のアレル頻度は0%、プロモーター領域TATA boxへのTA挿入変異(TA7)のallele頻度は12.9%であった。欧米の報告ではコード領域の変異は健常者に全く存在せず、一方TA7変異はallele頻度16%と日本人よりもやや多い。 2.UGT1A1遺伝子変異と血清ビリルビン値との関係 健常人、Gilbert(G)症候群、I型Crigler-Najjar(CN)症候群の患者のUGT1A1遺伝子変異と空腹時血清ビリルビン値とを検索し、両者の関係を更に検討した。健常者の変異(多型)の多くはheteroのプロモーター領域のTA7変異であり、一部heteroのG71Rの変異がみられた。G症候群患者の約90%にその他、コード領域の多種のhetero,homの変異を認めた。新たにheteroのP364LとG71Rの合併したG症候群患者を発見して、検討中である。CN症候群では全例にコード領域のhomoの変異を認めた。 3.UGT1A1遺伝子変異と絶食高ビリルビン血症の関係 G症候群の診断に利用されている24時間低カロリー試験をUGT1A1遺伝子を検索できた健常者、G症候群患者に行い、血清ビリルビン上昇と遺伝子変異の関係を検索した。遺伝子変異(+)の症例は、健常者でもG症候群患者でも血清ビリルビン上昇が0.6mg/dl以上となり、又変異と血清ビリルビン上昇との間に因果関係が認められた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kamisako T,Adachi Y 他6名(8番目): "Recent advances in bilirubin metabolism research : the molecular mechanism of hepatocyte bilirubin transport and its clinical relevance."J Gastroenterol. 35. 659-664 (2000)
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[Publications] Morimoto Y,Adachi Y 他3名(5番目): "Novel assay for measuring serum conjugated bilirubin and its clinical relevance."J Clin Lab Anal. 14. 27-31 (2000)
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[Publications] Ishihara T,Adachi Y 他8名(10番目): "Role of UGT1A1 mutation in fasting hyperbilirubinemia."J Gastroenterol Hepatol. (印刷中). (2001)
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[Publications] 足立幸彦 他2名: "代謝性肝疾患の遺伝子診断"臨床成人病. 30(3). 339-344 (2000)
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[Publications] 足立幸彦 他1名: "体質性黄疸の診断と治療"胆と膵. 21(8). 635-639 (2000)
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[Publications] 足立幸彦: "肝細胞膜の物質輸送についての最近の進歩"Hepatica. 20(1). 31-32 (2001)
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[Publications] 足立幸彦(分担執筆): "多賀須幸男 他 総編集 今日の治療指針(体質性黄疸)"医学書院. 2 (2000)
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[Publications] 足立幸彦 他1名(分担執筆): "和田攻 他 編著 臨床検査ガイド2001〜2002(ビリルビン)"文光堂. 6 (2001)