1999 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性の高分子化フラーレンを用いた消化器がんの局所光線力学治療
Project/Area Number |
10470134
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 和一 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70145126)
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Keywords | フラーレン / ポリエチレングリコール / 水溶性結合体 / 光照射 / 抗がん活性 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光増感剤としてのフラーレンを投与した後、がん部位を光照射することによって、がん組織のみを選択的に破壊できる新しいがん治療システムを確立することである。まずわれわれは、ポリエチレングリコール(PEG)にて化学修飾することによってPEG-フラーレン結合体を作製した。期待通りにPEG修飾反応の進行とともにフラーレンは水可溶化した。 分子量の異なるPEGによるフラーレンの化学修飾を行った。反応条件を変化させることにより作製した、水溶性PEG-フラーレン結合体のin vitroにおける抗がん活性を細胞培養法にて調べたところ、いずれの結合体も光照射によって癌細胞の増殖抑制効果を示した。皮下にがんをもつ動物を用いて、水溶性PEG-フラーレン結合体のin vivoにおける抗がん作用を調べた。PEG-フラーレン結合体をがん局所へ投与した後、その部位を光照射したところ、光照射時間および光照射エネルギーの増加とともに、水溶性PEG-フラーレン結合体の光線力学効果が増強した。これらの抗がん作用は結合体の種類に関係なく、同程度であった。発がん物質を経口投与することによって、消化管にがんをもつ担がん動物の作製を試みた。得られた担がん動物を用いて、予備的に水溶性PEG-フラーレン結合体による癌の光線力学的療法を行ったところ、がんのサイズの縮小を認めた。
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