1999 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症におけるケモカインシグナル伝達系の検討
Project/Area Number |
10470152
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小野寺 宏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20214207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70280873)
菅村 和夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20117360)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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Keywords | multiple sclerosis / endothelium / chemokine / eotaxin / PAI-1 |
Research Abstract |
ケモカインは数十種類のファミリー遺伝子から構成され,複数のサイトカイン・ケモカインの組み合わせによりリンパ球の遊走や活性化状態が調節される.多発性硬化症(MS)の中枢神経組織では免疫担当細胞の機能が変調していると考えられるので,MS病態におけるケモカインシグナル伝達系の変化について解析した.MS再発時の血液中および髄液中のTリンパ球におけるケモカイン受容体発現を検討し,CD4+T細胞ではTh1ケモカイン受容体発現が末梢血および髄液で増加していることを明らかにした.特にCCR1の発現が末梢血に比して髄液で著明に増加しており,CCR1を介するCD4+細胞の活性化がMSの病態に重要と考えられた.CCR3を受容体とするeotaxin血中濃度がMS再発直後よりも治療後に増加していた事は極めて興味深い.CCR3はTh2ケモカイン受容体であり,治療後の血中eotaxinの増加はMS再発時にTh1へと傾斜したT細胞バランスが補正されつつある事を反映している可能性がある.血中eotaxinの変動はeotaxinとCCR3を共用するRANTESなど他のケモカインの作用が修飾されていることも意味しており,MSの再発とTh1/Th2バランスの観点から今後の検討が必要である.なお,RANTES,MIP1α,MIP1β,IL-8の血中・髄液中濃度は対照群との間で有意差は無かった.血管内皮細胞障害(活性化)に関与するplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)血中濃度がMS再発時に一過性に増加する事も明らかにした.本研究によりMS再発におけるケモカインの重要性が示され,ケモカインシグナルの制御によるMS治療が期待される.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Onodera H.,Nakashima I.,Fujihara K.,Nagata T.,Itoyama Y.: "Elevated plasma level of plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1) in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis"Tohoku J Exp Med. 189. 259-265 (1999)
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[Publications] 三須建郎,小野寺宏,藤原一男,中島一郎,糸山泰人 他: "日本人多発性硬化症患者の抹梢血および髄液におけるリンパ球表面マーカーの検討"Neuro immunology. 8. 36-37 (2000)
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[Publications] 鈴木靖士,小野寺宏,永田哲也,義江修,糸山泰人: "カイニン酸による海馬障害ラット脳でのケモカイン・ケモカイン受容体の変化"Neuro immunology. 8. 140-141 (2000)
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[Publications] Nakashima I.,Fujihara K.,Itoyama Y.: "Human parvovirus B19 infection in multiple sclerosis"European Neurology. 42. 36-40 (1999)
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[Publications] 糸山泰人,小野寺宏,藤原一男,中島一郎,永田哲也,大内将弘: "免疫性神経疾患の病態と治療"神経研究の進歩. 43. 916-920 (1999)
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[Publications] 藤原一男,中島一郎,佐久間良,小野寺宏,沖田直,高瀬貞夫,遠藤実,糸山泰人: "日本人多発性硬化症の多様性の検討"Neuro immunology. 7. 175-179 (1999)
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[Publications] 小野寺宏,山崎靖人: "分担執筆 免疫学から見た神経系と免疫疾患 PP31B〜325"日本医学館. 374 (1999)