1999 Fiscal Year Annual Research Report
CAGリピート病脳における核内封入体の蛋白化学的研究
Project/Area Number |
10470157
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
貫名 信行 理化学研究所, 病因遺伝子研究グループ, グループディレクター(研究職) (10134595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 芳朗 CAGリピート病研究チーム, 研究員 (60211439)
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Keywords | CAGリピート / ポリグルタミン / 核内封入体 / ハンチントン病 |
Research Abstract |
遺伝性神経変性疾患にはその遺伝子にCAGのリピートを含み、リピートの伸長を認める一群の疾患が存在することが近年認識されてきている。このような疾患をCAGリピート病と呼び、ハンチントン病(HD)、マシャドジョゼフ病、DRPLA、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)などが含まれる。ごく最近CAGリピート病の神経細胞の核に封入体が存在することが認識された。本研究ではこの核内封入体について以下の点を解明することを目的とし、以下の結果を得た。 1)核内封入体の形成には核移行に関与する因子の同定が重要であるが、この疾患とは別の系においてRNAが核移行に関与することがわかり、蛋白以外の因子の検討も重要と考えられた。 2)HDの遺伝子産物を蛍光を発するGFPと結合した融合タンパクとして誘導発現する系を作成し、これによって細胞死を誘導し、この系がカスペースの活性化を伴うアポトーシスであることを示した。またこの系ではGFPによる蛍光を発する凝集体が形成され、この凝集体の形成が細胞死と平行していることを示した。 3)核内凝集体の形成がタンパク合成にどのような影響をもたらすかを検討するためHD exon1(Q110 repeat)を導入したTg61を用いて、肝細胞の培養を行い、この細胞でのタンパク合成への影響を解析した。核内封入体を形成している肝細胞は初代培養可能であり、そのタンパク合成は対照と異ならなかった。このことは核内封入体の形成は全体としてのタンパク合成には影響がないことを示している。 4)可溶性のポリグルタミンを含む融合蛋白を形成するため、ミオグロビンを用いた系で融合蛋白を作成した。この系での構造解析及びポリグルタミン結合蛋白の同定を行っている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 長尾芳朗: "CAGリピート病"実験医学(増刊). 17. 2214-2218 (1999)
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[Publications] Sieradzan K.A.: "Huntington's disease intranuclear inclusions contain truncated ubiquitinated huntingtin protein"Exp.Neurol. 156. 92-99 (1999)
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[Publications] Wang G-H.: "Caspase activation during apoptotic cell death induced by expanded polyglutamine in N2a cells"NeuroReport. 10. 2435-2438 (1999)
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[Publications] 貫名信行: "Huntington病の原因遺伝子(IT15)の遺伝子産物ハンチンチン(huntingtin)の生物学的活性と発症機序"日本臨床. 57. 905-911 (1999)
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[Publications] 長尾芳朗: "筋・神経・精神疾患 トリプレットリピート病"生体の科学. 50. 385-386 (1999)
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[Publications] 貫名信行: "痴呆性疾患の細胞障害分子機構「CAGリピート病」"神経研究の進歩. 43. 851-857 (1999)
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[Publications] 貫名信行: "Annual Review 神経 2000 2.CAGリピート病と核内封入体"編集:後藤文男,高倉公朋,木下真男,柳澤信夫,清水輝夫. 8-14 (2000)
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[Publications] 貫名信行: "臨床遺伝子医学ガイダンス-分子遺伝子医学ガイダンス-12. 神経筋疾患"編集:小澤敬也. 249-255 (2000)