2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10470175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛島 廣治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10091068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 治 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 室長(研究職) (40270631)
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Keywords | ウイルス性下痢症 / ロタウイルス / 分子疫学 / カリシウィルス |
Research Abstract |
下痢症ウイルスの分子疫学的研究を続けた。我が国で昨年度にロタウイルスの9型の流行を札幌で見出したが、今年度は佐賀に認めた。舞鶴、東京、大阪ではほとんどが1型で9型は認められなかった。佐賀では90%(22検体)が9型であったが、その遺伝子の解析および9型のモノクローナル抗体の結果から昨年度の札幌のものとは異なり、1998年ごろタイで見出された株と近いことがわかった。過去20年ぐらいの我が国の成績から、13-15年前に多く9型が見られ1,2年で消失したのが明らかにされ、周期性をもって9型が出現すると推測された。全体的には1型が大多数を占めたが、やや頻度は下降しており、2型も認められた。ワクチンの開発には9型も含める必要が考えられた。アデノウイルスは40<41型で全体の下痢便の10%位に認めた。カリシウイルスがGIIが中心で、アストロウイルスも僅かだが検出された。 東京の1保育園で、1999年6月-2000年5月まで、毎週1日のルーチンの採便と下痢の流行時は続けて採取した。その結果1999年6月と2000年5月にアストロウイルスの流行が見られた。また1999年6月はカリシウイルスの排泄も見られた。また12月にカリシウイルス単独の下痢の集団発生が見られた。ロタウイルスの流行はなかった。カリシウイルス(酵素抗体法)のために、GIIのカプシド蛋白をバキュロウイルス系で発現させた。また同時に、開発中のGI,GII共通抗原を利用した酵素抗体法による抗原検出キットを使用する機会を得た。それを用いると遺伝子増幅で検出したのと比較し、70%が検出できた。国際共同研究として、ベトナムの検体では。下痢症ウイルスのなかでロタウイルスの占める頻度は日本と比較すると多かった。9型は見られず、4型の占める割合が多くなっていた。カリシウイルスはGIIが多かった。
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[Publications] Nishio O, et al.: "Rotavirus infection among infants with diarrhea in Vietnam"Pediatrics internateonal. 42・4. 422-424 (2000)
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[Publications] Maneekarn N, et al.: "Epidemiology of rotavirus infection in Thailand."Pediatrics International. 42・4. 415-421 (2000)
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[Publications] Kohno H, et al.: "Development of a simple and rapid latex test for rotavirus in stool"Pediatrics International. 42・4. 395-400 (2000)
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[Publications] Ushijima H, et al.: "Rotavirus infection in Asia"Pediatrics International. 42・4. 392-394 (2000)
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[Publications] Konishi K, et al.: "Effect of colominic acid on enteric virus infection in vitro."Japanese Journal of Infectious Diseases. 53・2. 62-66 (2000)
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[Publications] Sakamoto T, et al.: "Molecular epidemiology of astrevirus in Japan from 1995 to 1998 by RT-PCR with serotype-specific primers (1 to 8)"Journal of Medical Virology. 61・3. 326-331 (2000)
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[Publications] Kudo S, et al.: "Molecular characterization in the VP7,VP4 and NSP4 genes of human rotavirus serotype 4 (G4) isolated in Japan and Kenya."Microbiology and Immunology. 45・2. 167-171 (2001)
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[Publications] Abe T, et al.: "Infantile comulsions with mild gastroenteritis."Brain and development. 22・5. 301-306 (2000)
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[Publications] Wang QH, et al.: "Genetic analysis of the capsid region of astroviruses"Journal of Medical Virology. in press.
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[Publications] Gu Y, et al.: "Development of rotavirus agents in Asia."Pediatrics International. 42:4. 440-447 (2000)
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[Publications] Zhou Y, et al.: "Rotavirus infection in children in Japan"Pediatrics International. 42・4. 428-439 (2000)
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[Publications] Nishio O, et al.: "Rotavirus infection among infants with diarrhea in Pakistan."Pediatrics International. 42・4. 425-427 (2000)
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[Publications] 牛島廣治: "検査値のみかた 麻疹ウイルス抗体"中外医学社 中井利昭 編. 816-818(3P) (2000)
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[Publications] 牛島廣治 他: "届け出の必要な感染症"小児科 研修医ノート. 662-664(3P) (2000)
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[Publications] 牛島廣治: "今日の治療指針 伝染性紅斑(分担)"医学書院 矢田純一 編. 208-209(2P) (2000)
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[Publications] 牛島廣治: "検査値のみかた ロタウイルス抗原・抗体"中外医学社 中井利昭 編. 843-844(2P) (2000)