2000 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児急性リンパ性白血病におけるアポトーシス耐性機序の解明とその克服
Project/Area Number |
10470177
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
中澤 眞平 山梨医科大学, 医学部, 教授 (90090034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合井 久美子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70324192)
犬飼 岳史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30293450)
杉田 完爾 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60138055)
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Keywords | 難治性小児急性白血病 / アポトーシス / 11q23転座型白血病 / 9;22転座型白血病 / 17;19転座型白血病 |
Research Abstract |
9;22転座型、11q23転座型や17;19転座型急性白血病などのいわゆる難治性小児白血病は化学療法に耐性を示し、その発症および薬剤耐性の機序の1つとしてアポトーシスに関わる遺伝子の関与が想定される。 17;19転座由来E2A-HLFの解析から、線虫CES2の下流遺伝子であるCES1と相同性のあるSLUG転写因子が、E2A-HLF融合転写因子の下流遺伝子でありアポトーシスを抑制することを明らかにした。本年度は、E2A-HLFによるSLUG遺伝子誘導の機序を明確にするためにSLUG遺伝子の解析を行った。5'RACE解析ではORFが共通した3種類のsplicing formがあり、RT-PCR解析では転写開始点が共通した2つのsplicing formがmajorな転写産物であった。転写開始点上流にはTATA boxはなくCpG islandが存在しメチル化による制御も示唆された。さらに上流にマウスと相同性をもつ領域が散在し、約1kbの上流領域には線虫CES1遺伝子promoterのHLF-CS related siteとも類似する部位が存在した。この領域をprobeとしたGel-shift法でE2A-HLFの特異的結合を確認し、現在解析を継続中である。 最近、11q23転座型白血病で血清除去によるアポトーシスが抑制されるという報告が少数の細胞株を用いた検討で2報なされ、これまで手掛りの乏しかった11q23転座型白血病の生物学的病因を示唆する知見として注目された。我々も独自に樹立した9細胞株を用いて追試したところ、3株では急速なアポトーシスが観察されたが、2株で強力な、4株で中等度のアポトーシス抑制が観察された。従って、血清除去によるアポトーシスの抑制は、11q23転座型白血病発症の絶対的な要因ではないものの、難治性の要因として関与している可能性も示唆され解析を継続している。
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[Publications] T.Inukai,K.Sugita,S.Nakazawa et al: "Participation of granulocyte colony-stimulating factor in the growth regulation of leukemia cells from Philadelphia chromosome-positive acute leukemia and blast crisis of chronic myeloid leukemia."Leukemia. 14. 1386-1395 (2000)
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[Publications] K.Iijima,K.Sugita,T.Inukai,K.Goi,S.Nakazawa et al: "Expression of thrombopoietin receptor and its function role in human B-precursor leukemia cells with Philadelphia chromosome or 11q23 translocation."Leukemia. 14. 1598-1605 (2000)
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[Publications] K.Shiraishi,K.Sugita,T.Inukai,K.Goi,S.Nakazawa et al: "Analysis of serum lactate dehydrogenase and its isozymes during administratation of granulocyte colony-stimulating factorin children."Int.J.Hematol.. 72. 194-199 (2000)