1999 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアβ酸化異常症の生化学的評価・診断および病因解析に関する研究
Project/Area Number |
10470178
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 直実 岐阜大学, 医学部, 教授 (50124714)
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Keywords | 脂肪酸β酸化 / 先天代謝異常 / 質量分布 / グルタル酸尿症2型 / 極長鎖アシル-CoA脱水素酸素欠損症 |
Research Abstract |
平成11年度は、以下の研究成果を得た. 1)β酸化酵素の診断法の確立: β酸化に関連する酵素のうち、アシル-CoA脱水素酵素、チオラーゼなど8種類についてはすでに測定できる.さらにカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ、トランスロカーゼの酵素活性を現在検討中である. 2) 尿中アシルグリシン測定による診断: 安定同位体希釈法にによって、尿中エチルマロン酸、グルタル酸、イソバレリルグリシン、ヘキサノイルグリシン、スベリルグリシン、ドデカンジエン酸をGC/MS/SIM法で分析し、β酸化異常症の9検体を分析して本法の有用性を確認した.ただ安定同位体のコストの問題を残す. 3) 血液ろ紙中の遊離脂肪酸分析による診断: 血液ろ紙のパンチ5コをマイクロチューブの中で直接メチル化し、GC/MS/SIMで遊離脂肪酸を分析する方法を確立した.中鎖アシル-CoA脱水素酵素(MCAD)欠損症では、C10:1の上昇がみられ、極長鎖アシル-CoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症ではC14:1が上昇し、またグルタル酸尿症2型ではC8、C10:1、C14:1のいずれも上昇が観察された. 4) グルタル酸尿症2型(GA2)の病因解析: 日本ではGA2患者が12例知られている.うち2例(同胞例)についてはETFβサブユニット欠損症であることが報告されている.今年度、わが国で初例となるETFαサブユニット欠損症を2例同定し、世界で3例目(2家系目)となるETFβサブユニット欠損症を同定した.現在以上3症例について遺伝子変異を同定中である. 5) VLCAD欠損症の病因解析 わが国では現在5例のVLCADが同定されている(いずれも申請者らが関わった).昨年度第3例目を酵素レベルで同定し、今年度5例目を発見した.5例のうち1例はすでに遺伝子変異が報告されているが、残る4症例について遺伝子解析を進め、いくつかの変異を同定し確認中である.
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Kimura M.: "A personal computer-based system for interpretation of gas chromatography mass spectrometry data in the diagnosis of organic acidemias"Ann Clin Biochem. 36. 671-672 (1999)
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[Publications] Kimura M.: "Automated metabolic profiling and interpretation of GC/MS data for organic acidemia screenng:a personal computer-based system"Tohoku J Exp Med. 188. 317-334 (1999)
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[Publications] Kimura M.: "Screening for fatty acid beta oxidation disorders Acylglycine analysis by electron impactionization gas chromatography-mass spectrometry"J Chromat B. 731. 105-110 (1999)
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[Publications] Fujiwaki T: "Application of delayed extraction matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry for analysis of sphingolipids in tissues from sphingolipidosis patients"J Chromat B. 731. 45-52 (1999)
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[Publications] 山口清次: "GC/MS技術を応用した微量尿分析による有機酸代謝異常の多疾患診断・スクリーニング"小児科. 40. 1226-1232 (1999)
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[Publications] 伊賀三佐子: "乳幼児の突然死と先天代謝異常症"小児科. 40. 1743-1751 (1999)
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[Publications] 山口清次: "先天代謝異常に伴う新生児死亡とその対策"周産期医学. 29. 1483-1490 (1999)
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[Publications] 山口清次: "乳幼児突然死症候群(SIDS)と関連して注目されている先天代謝異常:ミトコンドリアβ酸化異常症"島根医学. 19. 201-210 (1999)
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[Publications] 木村正彦: "小児慢性特定疾患治療マニュアル(柳沢正義編) -脂肪酸アシル-CoA脱水素酵素欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症-"診断と治療社、東京. 4 (1999)