1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病海馬におけるGABA系の障害と神経細胞の変性脱落との関連について
Project/Area Number |
10470201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白石 博康 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50009651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 勝義 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20229686)
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Keywords | GABA / 海馬 / 神経原線維変化 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の神経細胞の変性にグルタミン酸を介した興奮毒性が関与するという報告が多数みられるようになったが、興奮性刺激を抑制するGABA神経伝達系のAD脳における変化についてはほとんど解明されていない。われわれは、GABAA受容体のサブユニットがADにおいて変化していることを報告し、これらの変化が神経細胞の変性と関連する可能性を報告した。AD脳におけるGABA系のさらに詳細な解明のため、今回われわれはAD脳におけるGABA産生細胞の変化、とくにGABA産生細胞内の神経原線維変化(NFT)について検討した。剖検で得られた40μの海馬切片を用いてニッスル染色やNFTを染色するTG3抗体を用いた免疫染色を施行し、Braakの分類を用いて病理学的重傷度を、stage1からstage6まで分類した。GABA細胞の標識である3種のカルシウム結合蛋白Parvalbumin(PV),Calbindin(CB),Calretinin(CR)に対する特異抗体を用いてそれぞれ免疫染色し、その後同一切片上でさらにTG3抗体を用いて二重染色した。高度に進行した海馬のCA領域やsubiculum内のPVおよびCB陽性細胞にはしばしばNFTが認められた。一方CR陽性細胞はNFTの出現を認めなかった。また歯状回ではいずれのGABA細胞もNFTの出現を認めなかった。一方、non-GABA cellである錐体神経細胞内にはAD病変の軽度の海馬においてもしばしばNFTを認め、高度の例では歯状回内の錐体細胞にもNFTを多数認めた。以上のことからGABA細胞は錐体細胞に比してNFTの出現はまれであるが、PVやCB細胞ではAD病変が高度になるとNFTが出現することや、GABA細胞も種類によってAD病変に対する抵抗性が異なることが示唆された。
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