1999 Fiscal Year Annual Research Report
キナーゼ活性を欠く新しい増殖因子型受容体HEPの造血制御における役割
Project/Area Number |
10470209
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 利充 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (10219371)
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Keywords | HEP / EphB6 / 増殖因子受容体 / チロシンキナーゼ / Tリンパ球 / ephrin B2 / 胸腺 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
増殖因子受容体の活性発現には、リガンド依存性の内因性チロシンキナーゼの活性化が必須であるが、本研究においては、私達が発見したキナーゼ活性を欠失した新しいヒトEphファミリー受容体,HEP(EphB6),の機能的意義の解明を試みた。ヒトEphB6cDNAを導入発現させたCHO-K1細胞を用い既知のephrin-Fcキメラ蛋白の結合能をフローサイトメトリーにて検討したところehprin-B2/Fcキメラ蛋白のみが特異的結合を示した。同細胞を用いephrin-B2とEphB6の結合親和性を測定したところ、その結合は高親和性(Kbはおよそ1nM)であることが確認された。さらに、EphB6受容体細胞外領域に免疫グロブリンFc領域を結合させたキメラ蛋白をプローベとして、各種の白血病細胞株への結合能を検討した。EphB6受容体はT細胞系列に特異的に発現していたが、EphB6受容体-Fc蛋白の結合は、T細胞のみならずB細胞や骨髄系の細胞にも、細胞特異的に認められた。これらの細胞株におけるすべてのephrin-BmRNA発現を検索したところ、EphB6受容体-Fc蛋白を結合する細胞にのみephrin-B2mRNAの高発現が特異的に確認された。また、マウス胎仔を用いたRAP in situ法にて、EphB6受容体特異的リガンド発現細胞の同定を行なったところ、ephrinB2発現領域と1部重複する可能性が示唆された。EphB6受容体の生理的機能を個体レベルで解析するため、EphB6受容体遺伝子ノックアウトマウス作製を行った。3系統の当該遺伝子相同組み換えES細胞を用い、キメラマウスの作製を行い、全系統においてF1マウスの誕生に成功した。F1マウス同士の交配により遺伝子欠損ホモマウスが誕生し、肉眼的な解剖学的異常は認められなかった。
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